SAF(持続可能な航空燃料)コストの利用者負担 「空港インセンティブ」方式の検討を開始第1回「持続可能な航空脱炭素化に関する有識者会議」(2/3 ページ)

» 2026年04月22日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

値差支援を行うための財源の考え方

 SAFと従来ジェット燃料の値差支援のため、税(一般会計)を財源とすることも考えられるが、航空分野は相対的に利用者(受益者)が限定されているため、一般納税者に負担を求めることは難しいと考えられる。

 このため、諸外国での導入事例も参考として、サーチャージ方式、SAF Levy方式、空港インセンティブ方式の適用について検討が行われた。

表1.代表的なSAFの費用徴収方法 出典:持続可能な航空脱炭素化有識者会議

「SAFサーチャージ」方式の検討

 「燃油特別付加運賃」、いわゆる「燃油サーチャージ」は、急激な燃料価格上昇を受け、日本では2005年(旅客)から導入された制度であり、現時点では主に国際線に適用されている。あくまで民間事業者(航空会社)による仕組みであり、航空各社の判断により航空当局に申請し、認可された場合、顧客から運賃本体とは別に徴収する料金である。シンガポールケロシン価格を基準価格として、その変動に応じて燃油サーチャージも変動する。

表2.直近のサーチャージ(例) 出典:持続可能な航空脱炭素化有識者会議

 「SAFサーチャージ」はこれに倣い、航空会社を徴収主体とし、一定の「基準価格」を上回る場合に差額を任意徴収する制度として検討されている。海外ではすでにルフトハンザドイツ航空等で導入されており、KLMオランダ航空では、SAF混合率1%に相当する費用としてEU域内のエコノミークラスで1〜4ユーロを搭乗者から徴収している。

 サーチャージ方式では、制度の透明性において基準価格の設定が不可欠であるが、現時点でSAFは原料ごとの価格差や、原料とSAF価格の関係性が明確ではないため、基準価格を設定するには時期尚早と判断された。

「SAF Levy(賦課金)」方式の検討

 国が新たな「SAF Levy(賦課金)」の徴収主体となり、航空会社が航空利用者から代行徴収する方式である。国はそれを原資としてSAFを一括調達し、航空各社へ分配することを想定している。

 シンガポールでは、シンガポールを出発するすべてのエアライン搭乗者や貨物輸送を対象として、「SAF Levy」を2027年から徴収開始する予定としている。Levy額は飛行距離(行先地域)や搭乗クラスにより異なる。

図3.シンガポールSAF Levy制度のイメージ 出典:持続可能な航空脱炭素化有識者会議

 仮に日本で「SAF Levy」方式を導入する場合、これを税とするのか賦課金とするのかも論点となるが、政府が強制力をもって徴収する新税としての納得性や負担感への配慮が求められる。「SAF Levy」方式のメリットや課題等については、「空港インセンティブ」方式との比較で後述する。

 運賃とは別に徴収される税金としては「国際観光旅客税」が2019年から開始されており、現行の税率1,000円は2026年7月1日から3,000円への引き上げが予定されている。

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