高経年火力電源は、卸電力市場や需給調整市場での価格競争力・採算性が低下し、稼働の蓋然性が低下するため、やがては休廃止に至ると考えられる。図5は、安定供給のために必要な設備量(供給力)を、稼働の蓋然性の高さの順に並べて積み上げたものである。
このような高経年電源は、容量市場においても価格競争力が低下し、非落札となる可能性が高いほか、リクワイアメントの達成が困難となる場合、そもそも容量市場(現行のオークション)への応札を見送ると考えられる。いずれの場合も、当該電源は容量市場で供給力として確保されないこととなる。
新たな制度では、このように計画上、休廃止となった電源に対して、対価を支払うことにより、供給力として確保することを目的としている。そこで広域機関事務局では、容量市場の一つとして「補完オークション」を新設し、休廃止電源の供給力を募集することとした。
現行のメインオークションや追加オークションでは、約定方式として「シングルプライス」を採用しているが、一旦休廃止となった電源を再び活用する/応札を求めるには、少なくとも実費はカバーする必要がある。よって、補完オークションでは事業者がリスクを負わないよう、kW公募と同様にコストベース(つまりマルチプライス)による約定方式として、一定程度のインセンティブなどを上乗せして支払うことで応札を促すこととする。
ただし、過度にインセンティブが大きい場合、電源の意図せぬ休廃止を促すおそれもあるため、インセンティブの在り方については、今後の検討課題としている。
これまで、供給力を追加的に確保する制度としては、kW公募や容量市場追加オークションのように、実需給の数カ月〜1年程度前(N-1年)に募集する短期の仕組みだけが存在したが、今後はメインオークション(N-4年)以降のN-3年、N-2年に生じる変化にも対応する必要がある。
休廃止電源の立ち上げには大きなコストが掛かるため、年度ごとに異なる電源を確保するよりも、同じ電源を複数年まとめて調達するほうが、トータルコスト(実費+インセンティブ)を抑制できる可能性がある。また、発電事業者側にとっても、稼働の予見可能性が高まり、応札しやすくとなると期待される。
よって補完オークションでは、実需給1〜3年前(N-1〜N-3年)に対してまとめて募集を行い、トータルコストが最小となる組み合わせで落札電源を決定することとした。
高経年電源を供給力として確保するという補完オークションの目的や仕組みは、予備電源制度と共通点が多い。そもそも「準供給力」という概念自体が、予備電源制度の創設に伴い、生み出されたものであり、供給力として活用できる蓋然性の高さの違いを表すに過ぎない。
高経年・休廃止電源の立ち上げコストの大きさを考慮すれば、別々の仕組みとして調達するよりも、補完オークションの中でまとめて募集することにより、総コストの抑制及び事業者の予見性を高められる可能性もある。広域機関では、今後、国とも連携しながら検討を続ける予定としている。
広域機関では、今後、補完オークションの募集量や、リクワイアメントなどの詳細要件について検討を行う予定としている。
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