2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、地域を越えて送電網を一体的に運用・強化する「広域系統運用」の実現に向けた検討が進んでいる。「広域系統整備委員会」の第104回会合では、足元の電力需要や電源などの動向を踏まえた新たなシミュレーションを行い、広域系統整備に関する費用便益評価結果が報告された。
電力広域的運営推進機関では、2050年カーボンニュートラル実現を見据えた将来の広域連系系統の具体的な絵姿を示す長期展望と、これを具体化する取り組みをまとめた第2次「広域系統長期方針」、いわゆる「広域連系系統のマスタープラン」を2023年3月に策定した。
その後、2025年2月に第7次エネルギー基本計画が策定されたほか、ロシアによるウクライナ侵略などによるエネルギー価格の高騰やデータセンターなどの新増設による電力需要の増加など、大きな環境変化が生じている。
このため広域機関では、第3次広域系統長期方針の策定に向け、広域系統整備に関する長期展望のレビュー(以下、「長期展望レビュー」)を進めている。「広域系統整備委員会」の第104回会合では、需要や電源などの動向を踏まえた新たなシミュレーションを行い、広域系統整備に関する費用便益評価結果が報告された。
現行の長期展望において、2050年時点の年間総電力量は12,484億kWh(使用端。送電端換算13,141億kWh)と想定しているが、最新の経済見通しや電化率などの変化を反映した試算を行ったところ、12,447億kWh(送電端)となった。
また広域機関では、「将来の電力需給シナリオに関する検討会」において、独自の電力需給シナリオを策定しており、同検討会では4つのモデルケース(9,500億、10,500億、11,500億、12,500億kWh:いずれも送電端)が設定されていることから、今回の長期展望レビューでは、将来の電力需給シナリオで最大の「12,500億kWh(送電端)」を採用することとした。なお、総需要のエリア配賦やロードカーブは、将来の電力需給シナリオで示された値を設定した。
長期展望レビューでは、需要のエリア配賦を変化させた「データセンター地方分散ケース」と「電源立地地域への需要誘導が限定的なケース」についても試算を行った。「データセンター地方分散ケース」では、GX戦略地域(第1弾)として9地域10地点(※)が認定されたことを踏まえ、地点ごとに1GW相当を当該エリアの需要として配賦した。
ベースシナリオでは、半導体・水素製造・DACといった需要は再エネ電源の立地に一定程度誘導されると想定しているのに対して、「電源立地地域への需要誘導が限定的なケース」では、現状の各エリアの需要実績比率が継続すると想定している。
※北海道(石狩市、苫小牧市)、秋田県(秋田市)、宮城県(富谷市)、栃木県(矢板市)、茨城県(常総市/つくば市)、富山県(南砺市)、香川県(綾川町/坂出市/丸亀市)、福岡県(北九州市/直方市/鞍手町)、鹿児島県(薩摩川内市)
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