運輸分野の省エネを推進 特定荷主向けにも「事業者クラス分け評価制度」を導入へ:第12回「荷主判断基準WG」(2/3 ページ)

» 2026年10月16日 07時00分 公開
[梅田あおば,スマートジャパン]

「特定荷主」数の減少と小売事業者の動向

 改正前の旧省エネ法において、「荷主」とは貨物の所有権を持つ者であり、ネット通販などでは注文完了時点で所有権が購入者・消費者に移転するため、ネット小売事業者は荷主に該当しないと扱われていた。

 2018年の省エネ法改正により、荷主の定義を「貨物の所有権を持つ事業者」から「輸送の方法などを決定する事業者」へと変更したことにより、大手ネット小売事業者なども特定荷主に該当することとなった。

図5.2018年省エネ法改正による荷主の定義変更 出典:荷主判断基準WG

 新型コロナウイルス感染症拡大によるネット通販(ネット小売)の市場拡大に伴い、宅配便取扱個数も増加しており、EC事業(電子商取引)で消費者との接点の多い小売業では、輸送量が増えていると考えられる。また直近では、小売業のM&A(合併・買収)が活発化しており、統合によるネット小売事業者の大型化が進んでおり、輸送トンキロが増加している小売事業者も多いと考えられる。

 省エネ・非化石転換法では、すべての荷主に対して自らの貨物輸送量を把握することを求めており、新たに年間輸送量が3,000万トンキロ以上となった場合は、「貨物の輸送量届出書」を国(経済産業局長)に提出する必要があるが、これを提出していない小売事業者もいると考えられる。

 資源エネルギー庁では、業界団体や個別事業者にコンタクトし、省エネ法荷主制度の周知徹底を図る予定としている。

特定荷主の非化石転換の現状

 省エネ法は2022年改正により、法の目的に非化石転換を追加したことにより、特定荷主は貨物輸送事業者と連携して、非化石エネルギー自動車や非化石エネルギーを使用する鉄道、船舶又は航空機を選択し、非化石エネルギーへの転換を図ることが求められている。

 また特定荷主は、自家用および荷主専属用輸送に使用する非化石エネルギー自動車の目標台数および導入台数について、中長期計画書(2023年度報告以降)、定期報告書(2024年度報告以降)の作成・提出が義務付けられている。

 省エネ・非化石転換法において非化石エネルギー自動車とは、EV、水素自動車(FCVを含む)、PHEVおよび専らバイオ燃料・合成燃料を使用する自動車であるが、台数5%目標については、ハイブリッド自動車の使用台数も取り組み評価の参考事項として考慮される。

 現時点、国内の貨物車全数に占める非化石エネルギー貨物車の比率はわずかであるが、小型EVトラックやFCVトラックの製品ラインアップの拡充に伴い、保有台数は着実に増加しつつある。

図6.非化石エネルギー(EV・FCV)貨物車台数の推移 出典:荷主判断基準WG

 特定荷主の2024年度提出定期報告書によれば、車両総重量8t以下の貨物自動車を使用している特定荷主のうち、2023年度時点で非化石エネルギー自動車を使用している割合は17%に留まるが、約5割の特定荷主が導入台数の目標値を5%以上と設定していることが確認された。

図7.非化石エネルギー自動車割合の実績値と目標値の設定状況(2024年度報告) 出典:荷主判断基準WG

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