ちなみにバーゼルワールドの運営スタッフは、恐らく地元の方々が多いのだろう。みんな当たり前のようにドイツ語、フランス語、英語を流暢に操っていたのには、ちょっとしたカルチャーショックを受けたのだった。
もともとスイスは、地方によってドイツ語圏やフランス語圏、イタリア語圏などに分かれているのだが、バーゼルはちょうどドイツとフランス両国との国境に接しているだけあり、ドイツ語とフランス語の両方を話せるのは特に珍しいことではないそうだ。それに加えてみんな英語も流暢なものだから、カタコト英語がやっとの筆者は何だか肩身が狭い。
余談ではあるが、カルチャーショックといえばトイレの男女別表示。この写真をちょっと見てほしい。
日本の感覚だと男性用は青、女性用は赤だが、こちらではどちらも赤で表示されている。色ではなく、サインの形で男性用か女性用かを見分けなければいけない。そこに気付くまでは、会場中のどのトイレスポットに行っても赤の表示しかないので、「男性用トイレは一体どこにあるんだ!」と焦ったものだ。思わぬところでカルチャーギャップを見つけることができるのも、海外取材の面白いところである。
さて、3日間の取材を終えた金曜の夜、フライブルクの繁華街に繰り出してみた。週末の夜とあってか、あちらこちらで若者たちがビール片手にドンちゃん騒ぎを繰り広げていた。平日の昼間に見た、あの「静かなドイツ人たち」の顔は、一体どこへ行ってしまったのだろうか? 「そうか、彼らはみんな若い学生だから、これだけ無邪気に騒げるのだろう」、そう思っていたのだが……。
翌朝、フライブルクを後にして帰国の途についたのだが、フランクフルトまでのICE(超特急列車)の同じ車両に乗り合わせた年配グループの、まあ元気なこと! サッカーの試合でも観に行くところなのだろうか、みんなビールを片手に大声でがなり立て、しまいには応援歌か何かの大合唱が始まる始末。
ドイツ人は真面目で静かで、そしてとても陽気だ。「何だか、アフター5の酒場で途端に饒舌になる、俺たち日本人と似ているなあ……」。そんな妙な親近感を抱きつつ、ドイツの地を後にした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング