そして筆者が感じたのは東京ディズニーリゾートの「自信」だ。
ディズニーファンの間でのバケーションパッケージ評は先ほどの「高い」に加え、「特別ファストパスだけ売ってくれればいいのに」「有料でいいからバケーションパッケージ専用席の入場権だけが欲しい」「特別グリーティングだけを買いたい」――といった声をよく聞く。
似たような仕組みを取り入れているテーマパークも多い。例えば、優先入場の権利を入場券とは別に購入し、待たずに体験を提供するなどの例だ。しかし東京ディズニーリゾートは、このバケーションパッケージでしかこのような権利は提供しない。
これはおそらく、彼らが考える「リゾート体験」は、切り売りできないということなのだろう。宿泊、テーマパーク体験のいいところを凝縮したバケーションパッケージが提供するのは、リゾート滞在で一番貴重な「時間」なのだ。
オリエンタルランド社の方による講演録で、大変興味深い一節があったので引用しよう。ディズニーランドを日本に誘致する前に、米ディズニー社の幹部との会話を紹介する。
《ディズニーの連中に聞きますと「年間1000万人のお客様を呼ぶのには、バックに1億人いればいい」――非常に単純明解です。アメリカは2億人なんだから東西に1つずつディズニーランドがあればいいんだ。カリフォルニアのディズニーランド、そしてフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド。この2つしかありません。3つ目にどこに造るか、彼ら全員が「それは、日本しか考えられない」と言ったそうです。
なぜか? 「日本人ていうのは本当にコミュニケーション好きな人たちだ。ディズニーランドへ来て、彼らほど楽しそうに遊んでいく人はいない」。そして彼らが帰る時に感想を聞くと、誰もか「俺1人で遊んじゃ、もったいねぇ。女房、子供にどうしても見せたい」。必ずいうっていうんです。実は私もそう言ったんですけれども。そのくらい日本人ていうのは、家族思いだ。嘘か本当か知りませんけれども。彼らはそう信じてる訳です。
これだけファミリーを愛する民族っていうのは、いないんじゃないか。しかも、高いお金を払って海を渡ってわざわざ来てくれて2時間ぐらいで帰っちゃうっていう訳です。これは彼らがあまりにも忙しすぎるからだ。「ぜひ日本に造ろう」と、彼らは東京へディズニーランドを出すのを決めたんだよと申します。(元オリエンタルランド社常務取締役 北村和久氏 人々に夢を与えるサービスとは何か「東京ディズニーランドの品質管理活動」より)》
(c)Disney
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング