FIA 世界耐久選手権って何だ? 富士6時間レースをふり返るレースリポート(1/4 ページ)

» 2012年12月28日 11時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]
WEC Audi R18 e-tron quattro 1号車

 少し前の話となるが、2012年10月12日〜14日の3日間に渡り、富士スピードウェイで「FIA 世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship、略称WEC) 第7戦 富士6時間耐久レース」が開催された。レースにあまり詳しくない人にとって、世界耐久選手権やWECという名前にはあまり聞き覚えがないかもしれない。

 しかし「ル・マン 24時間レース」のことなら、恐らくほとんどの読者が聞いたことあるのではないだろうか。WECをごく簡単に説明すれば、ル・マンと同じレギュレーション(ルール)で、世界各国を転戦しながら開催される耐久レースシリーズなのだ。

ル・マンの興奮が富士スピードウェイにやってきた

WEC かつてル・マンを制したマツダ 787Bもデモランを行った

 このWEC、実は2012年新設されたばかりのシリーズ。だが、かつて1980年代、1990年代には、同様の国際耐久レースシリーズが華々しく行われており、日本メーカーや日本人ドライバーの活躍もあってかなりの人気を誇っていた。筆者のようなおじさん世代の多くは、当時、圧倒的な強さを誇ったポルシェ956に対して、われらが日本メーカー勢が果敢に勝負を挑む姿に胸躍らせていたのだ。

 紆余曲折あり、一時は開催が途絶えていたWECだったが、2012年より晴れて復活したというわけなのである。ちなみに2012年シリーズは全8戦で戦われ、すべてが異なる国で開催された。

 そのハイライトは、6月に開催された第3戦のル・マン24時間レース。この世界最大の自動車レースイベントといってもいいル・マン24時間を3年連続で制したのが、ハイブリッド技術を搭載したアウディの「Audi R18 e-tron quattro」。しかも、表彰台すべてをアウディ車で占めるという圧勝ぶりを見せた。

 一方で、このル・マンからトヨタが、同じくハイブリッド技術を搭載したマシン「Toyota TS030 - Hybrid」を引っ提げてWECに参戦したことは、日本でもかなりの注目を集めた。同レースでトヨタは一時はトップに立つ快走を見せたものの、惜しくも接触によるリタイアに終わってしまった。しかしトヨタはル・マン後も継続してWECに参戦を続け、第5戦のサンパウロ6時間レースでは見事ポール・トゥ・ウィンを飾っている。

WECWEC (左)Audi R18 e-tron quattro(右)Toyota TS030 - Hybrid

 結局、2012年のWECはアウディがプロトタイプ部門のマニュファクチャラーズチャンピオンシップを獲得したのだが、このアウディとトヨタのいわば「ハイブリッド対決」が、WEC復活元年を盛り上げる最大の原動力となった。

 さて、前置きが少し長くなってしまったが、24年ぶりに富士スピードウェイで開催された耐久レースの世界選手権で体験したことをつづっていこう。

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