コラム
» 2013年06月25日 11時00分 公開

「遺産」はこうして受け継がれる――リンドバーグの航空時計LONGINES HERITAGE COLLECTION(2/2 ページ)

[篠田哲生,Business Media 誠]
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画期的で実践的だった新世代時計

 パイロットにとって、何よりも危険なのは現在位置を見失うことだ。特に目標物のない大洋上では、自分がどこを飛行しているかを把握しなければ、少しのズレさえも大きなミスに繋がり、燃料不足で墜落してしまうことも考えられる。だからこそ現在地の把握は、なにもよりも優先されるべきである……。

 そこでリンドバーグは、航空業界と密接にかかわっていたロンジンに、もっと簡単に自分が飛行している場所を把握できる時計を依頼したのだ。

アワー アングル ウオッチ 「リンドバーグ アワー アングル ウオッチ」/リンドバーグが考案し、ロンジンが製造。1931年に完成した画期的な航空時計。そのスタイルを、ほぼそのまま復刻している。自動巻き、ステンレススチールケース、ケース径47.5ミリ。51万4500円

 こうして生まれのが、天体の位置を示す「時角(アワー アングル)」を計算するための目盛りを持つ「アワー アングル ウオッチ」だ。パイロットの標準時間であるGMTと平均太陽時、ベゼルとダイヤル上の目盛りを組み合わせて経度を知り、飛行機内に搭載する六分儀で太陽に位置を計測して緯度を割り出せば、現在地を把握できるようになる。

 素人には少々分かりにくい機構だが、当時のパイロットからすればかなり画期的な機構であり、1931年に発売からパイロットのための時計としてセンセーショナル話題となった。1932年には“空の女王”と呼ばれた米国人女性パイロット、アメリア・イヤハートが、実際にロンジン製アワー アングル ウオッチを装着して大西洋無着陸単独横断飛行を成功させ、優れた機能であることを証明している。

アワー アングル ウオッチ パイロットグローブを着用した状態でも、簡単に操作できるように大きくデザインされたタマネギ型リューズを採用。使いやすいだけでなく、アンティーク風のルックスを作るスパイスとしても効果的だ

 「アワー アングル ウオッチ」の成功は、パイオニアたちをサポートすることを社是としていたロンジンにとっても大きな仕事となった。だからこそ現在も、ヘリテージコレクション「リンドバーグ アワー アングル ウオッチ」として大切に受け継がれている。

 47.5ミリという大型ケースは視認性を向上させ、タマネギ型リューズは操作性を高める。そしてベゼルやダイヤルに入る目盛りも含め、すべてが1931年に登場した原点モデルのスタイルを継承した。

 “ヘリテージ”という名前には、デザインだけでなく、時代の空気や冒険者の強い信念が詰まっている。時代を超える時計には、それだけの理由があるのだ。

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