気圧差インジケーターは、最新の定時測定気圧と現時点における気圧の差を秒針で示す。本体にあるセンサー選択ボタンを押して気圧センサーを有効にすると、その時点における気圧センサーが測定した気圧を液晶に数値で表示し、その値と定時観測している最新の気圧との差を秒針で示す。気圧差の原点は「3時」の方向で、気圧が上がっていれば左回りに、気圧が下がっていれば右回りに秒針が回る。ベゼルには気圧差を示す数値が刻んでるので、その値で気圧差を数値として把握できる。
気圧インジケータを有効にしてから3分間は5秒ごとに気圧を測定し、その後は1時間にわたって2分ごとに気圧を測定して最新の定時測定気圧との違いを示す。1時間たつと時刻表示モードに戻る。
測定は1ヘクトパスカル単位で、気圧の変化を細かく表示できる。ただ、比較対象になる気圧は2時間おきの定時測定値になるため、気圧差インジケーターを有効にしたタイミングによっては、比較対象が2時間近くたっていたり、ほんの数十秒しかたっていなかったりする場合がある。気圧の変化は時間がたつほどに大きくなるので、変化の大きさについては有効にした時間と定時測定からどれだけ時間がたっているのかを考慮しておきたい。
また、有効にしてから3分間は5秒ごとと測定間隔が短い。細かい変化をとらえることができると思うかもしれないが、さすがに気圧がそこまで急激に変化することはまずなく、実際の海上で5秒間隔測定のメリットを感じることはなかった。ただ、2分間測定では、じわりと下がっていく、または、ジワリと上がっていく気圧の変化を“目で見て”感じることができる。荒天の海を航海しているときに気圧がジワリと上昇に転じたことを確認できれば、心理的に大きな支えになるだろう。
気圧傾向グラフは、2時間ごとに測定した気圧の過去20時間にわたる変化を折れ線グラフで示す。グラフの液晶1ドットは1ヘクトパスカルに相当する。気象は緩やかに変化するもので、そういう意味では、過去20時間にわたって2時間おきに測定した10個の測定値で構成する気圧変化のグラフは、気象の変化を予測するのに有効な手掛かりになる。
ただ、普段使いで建物の高層階や地形的に高いところに行ったとしても、高度の変化にともなう気圧の変化がグラフに“きちんと”反映されてしまう。GULFMASTERには「高度の変化にともなう気圧測定値の修正」には対応していないためだ。過去20時間のうち、街で生活した時間帯は正しい気圧変化を示していないことを知っておく必要がある。
気圧傾向インフォメーションは、有効にしてから24時間にわたって2分間おきに気圧を測定し、事前に設定しているしきい値(ただ、マニュアルやWebページでしきい値についての説明が見つからず、具体的な値は分からなかった。カシオさん、後で教えてください)を超える気圧の変化を検知したら、インダイヤルの下半分で示されるアイコンと警告音を使って、急激な気圧の上昇、下降、そして、高気圧(または気圧の尾根)、低気圧(または気圧の谷)の通過(と推測できる気圧の変化)を知らせてくれる。
評価作業中は、あの台風8号が評価担当者の生活圏を通過するなど、気圧の大きな変化が起きるかもしれない絶好(?)の気象条件だった。が、普段の生活でも高度変化にともなう気圧の変化が大きかったのか、気圧傾向インフォメーションが機能したのは1度だけ「高気圧(または気圧の尾根)が通過した」ことを知らせてくれたときだった。なお、工場出荷状態のアラーム音量設定は警告音が小さめで、かつ、連続した鳴動でない。街中はもとより、海上を航海して波風の音がうるさいときには気が付かないかもしれない。
急激な気圧変化から悪天候を警告してくれる気圧傾向インフォメーションだが、上船中の船乗りは周期的(1時間おき、または、時鐘がなる30分おき)に状況を確認して記録する習性があるので、そのときに、気圧センサーを有効にして気圧傾向グラフから判断するのが現実的な利用方法といえる。
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