中性脂肪やHDLコレステロールの改善、血圧の低下など、心血管リスクの低減が認められるとの報告もありますが、糖質制限ダイエットは、まだ長期にわたる臨床データや安全性、科学的根拠が不十分であることから、万人に勧められるダイエット法でないことは確かです(※1)。
一方、現在分かっていることは、糖質中心の食事と比較してたんぱく質や脂質の多い食事は食後の満腹感が高かったり、空腹感を感じるまでの時間が長いことから、間食予防につながるなどのメリットがあるといえます(※2)。
では、糖質の割合が少なくなると、どのような潜在的なリスクがあるのでしょうか。
1日の摂取エネルギーのうち糖質が30〜40%(糖質摂取の少ない人達)の人たちと、60〜70%(日本人の平均的な摂取割合)の人たちで死亡率を比較すると、糖質摂取量30〜40%の人たちの死亡率が約30%高いという報告があります。
ただし、このような研究では、単純に糖質摂取量が少ない人と比較的多い人を比べただけなので、糖質制限が寿命を縮めるかどうかまではまだ分かっていません。また、糖質の代わりにどのような栄養素を食べているのかにも関係すると考えられます(※3)。
また、糖質の多いごはんや芋類、果物には多くの食物繊維も含まれています。これらの食品を控えることにより、食物繊維の摂取不足にならないよう気をつけなければなりません。食物繊維摂取量との関連が検討された生活習慣病は多岐にわたり、心筋梗塞の発症、並びに死亡や糖尿病の発症との間に負の関連を認めたとする研究報告が数多くあります。また、血圧並びにLDLコレステロールとの間でも負の関係が示唆されています(参考リンク:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015年版「炭水化物」)。
たんぱく質を過剰に摂取したときの健康被害としては、糖尿病発症リスクの心血管疾患、がんの発症率の増加などが報告されています。たんぱく質と腎臓の関係については、腎機能が低下した場合の悪影響は大きいと考えられています(参考リンク:厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015年版「たんぱく質」)。
糖質制限時のその他の影響としては、ごはんやパンなどを控えるため、おかずの量が増えます。基本的におかずは味付けされているので、塩分のとりすぎには注意が必要です。
糖尿病で服薬、インスリン注射をしている人は低血糖になる心配があります。また、腎機能低下、膵炎、肝硬変の人は、糖質制限は適応となりませんので、必ず主治医と相談しましょう。
ごはんを全く食べないといったダイエットにどんなに効果があったとしても、ごはんに納豆や卵をかけたり、丼など、ごはんと具が一体となった美味しさがあります。これらをすべて手放してしまうのは、非常に残念です。
無理なダイエットで一時的に体重が減ったとしても維持できなかったり、健康状態に影響が出てしまっては意味がありません。甘いものが好きな人の場合は、「ごはんを食べていないから」と、ついお菓子を食べ過ぎてしまってダイエットに失敗することがあります。
糖質制限をするのであれば、このような方法をおすすめします。
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