空から、陸から、オーストラリア大陸をダイナミックに旅する:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(9/9 ページ)
観光列車でケアンズの熱帯雨林を抜け、復路はスカイレールで上空から景色を一望する。南オーストラリアのアデレードから北端のダーウィンへは、ザ・ガン鉄道で縦断。日本からのアクセスはジェットスター航空を利用し、空路と陸路で豪大陸を満喫した。
LCCで自由な旅を安価に
成田行きのJQ25便は定刻の13時20分にケアンズ国際空港を出発した。成田までは7時間40分のフライトである。
私の横で、写真家の倉谷氏が「このシート、思ったより豪華ですね」と満足そうに言う。レザー張りのシートの座り心地は、確かに悪くない。調整可能なレッグレストと腰部のランバーサポート、読書灯、電源コンセプトなども装備されている。
水平飛行に移ってシートベルト着用サインが消えると、キャビンクルーがブランケットなどのアメニティキットの配布を始めた。続いて食事や飲み物がサーブされる。エコノミークラスのキャビンでも、予約表と照らし合わせながらクルーが同じ作業を進めている。もちろん予約せずとも、シートポケットにあるメニューを見て機内で注文することも可能だ。欲しい人が欲しいものだけをオーダーする──LCCのそんなスタイルは、自由な旅をリーズナブルに楽しみたい人にはいい。キャビンクルーの国籍は多様だが、胸の名札に英語以外に話せる言語が国旗で記されている。日本人クルーも数名が乗務しているのは、やはり心強い。
JQ25便はニューギニア上空を通過して赤道を超え、現在は太平洋上をまっすぐに北上中だ。食事を終えた私は、シートの背もたれを倒して目を閉じる。キュランダ鉄道やスカイレール、ザ・ガン鉄道の旅の余韻に浸りながら、心地よいフライトに身を任せた。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
関連記事
- エアアジアXとマレー鉄道の旅
LCCでありながら中距離路線を運航するエアアジアXは、大型の機材を使用し、エコノミーのみならず上級クラスのサービスも提供している。そんな同社のプレミアムクラスの取材を兼ねて私たちは羽田からクアラルンプールへ飛び、さらにマレー鉄道で世界遺産の街マラッカを目指した。 - カリフォルニア州ナパバレーで“ワイントレイン”に乗った
成田からデルタ航空でアメリカ西海岸のサンフランシスコへ。そこからはフェリーを利用し、ワインの産地ナパバレーを目指す。今回の旅の目的はただ1つ──世界中の旅行者を魅了してやまない観光列車、ワイントレインに乗ることだった。 - ベトナム航空で成田からホーチミンへ
深みのあるブルーグリーンに塗られた機体が印象的で、機内では民族衣装アオザイに身をつつんだクルーたちが出迎えてくれる。そんな個性豊かなエアライン、ベトナム航空を利用し、成田からホーチミンへ飛んだ。 - トルコ航空で“空のシルクロード”を行く
今年はどこへ旅しようか? ゴールデンウィークや夏の休暇に向け、早くもあれこれプランを練っている人も多いだろう。世界は広い。どのエアラインでどこを目指すかで、旅のスタイルも経験できる内容も変わってくる。2011年にぜひ候補の1つに加えてほしいのが、“空のシルクロード”を行くトルコ航空での旅だ。 - 「秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話」バックナンバー
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.