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コラム
» 2004年12月03日 03時00分 公開

SSコラボレーションネットワークITソリューションフロンティア:ソリューション

SSの経営が、規制緩和によって厳しい競争環境にさらされるようになり、収益率の向上が強く求められるようになって久しい。その間、SSでは油外収益の拡大やサービスの徹底による顧客囲い込みなどさまざまな取り組みが行われてきた。本稿では、カーライフをトータルに支える付加価値の高いSSとは何か、それをどう実現するかについて考察する。

[山本真也,野村総合研究所]

SSが抱え続ける経営課題

 1994年のピーク時に約60,000カ所を数えたガソリンスタンド、いわゆるサービスステーション(以後、SS)は、2004年末には45,000 カ所を下回ると予想されている(全国石油商業組合連合会レポートに基づいて予測)。その原因に、1996年4月の特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)の廃止、1998年4 月の消防関係法令の改正によるセルフ型SSの解禁など、いわゆる規制緩和があると言われている。しかしその背景に、収益性を無視した販売量至上主義というSS業界の体質があることも見逃せない。燃料の販売量を増やすために過度の価格競争が繰り広げられた結果、慢性的に利益率の低い状態が続き、自らの体力を消耗していったのである。

 今後は地下タンクの老朽化による投資負担の増加、ガソリン内需の減少加速、異業種の参入活発化など、既存SSの経営を圧迫する要因も数多く存在する。とくに昭和40年代に乱立したSSに埋設された地下タンクの交換時期を迎えており、経営者にとっては再投資できるだけの収益の確保が重要な経営課題となっている。

 SSでは収益性を改善するために、次の2つの経営モデルを追求してきた。1つは、低くても一定の利益率を確保しながら従来以上にガソリンなどの燃料販売量を増やしていく「燃料大量販売」モデルであり、もう1つは、SSとしての付加価値を高めながら燃料以外の収益源を確保する「付加価値追求」モデルである。燃料量販化モデルは、大型の設備を必要とする薄利多売のモデルであるため相応の企業体力が要求されることから、元売りの直営SSや一部の大手ディーラーしか選択しにくい。したがって、多くのSSにとっては、いかにしてSSとしての付加価値を創り出すかということが、従来から大きな課題となってきた。

ドライバーのSSに対する評価

 そこで、顧客であるドライバーがSSをどうみているかを確認するため、NRIガーデンネットワークでは2004年8 月に、SSの利用に関するインターネットアンケート調査を行った。

 SSを選択する基準について、全体の6 割以上の人が「価格」であると回答した。また「車の整備・メンテナンスに関して相談する場所はどこか」という質問には、約55%の人がカーディーラー(自動車販売店)、10%の人がカーショップ(カー用品販売店)としており、SSとした人は6%に満たない(図1参照)。他の結果もあわせて分析すると、SSは多くのドライバーにとって単なる給油場所にすぎず、車に関する専門知識や正しい技術を提供する場所として信頼できるとは考えられていないのである。

図1

 ところで、全体の半数以上の人が相談相手をカーディーラーと考えていることから、専門家に対するドライバーの期待は大きいと言える。また、欲しい情報は何かという問に対しては、全体の3 割以上が車の整備や点検方法、リコール情報など、車の安全走行に関する情報と回答しており、安全性や快適さに対するドライバーの意識は高い。

 このように、SSの顧客であるドライバーは「安全・安心・快適なカーライフ」を確実に求めており、これを提供していくことが、顧客に対するSSの付加価値を高めることになると言えよう。そのためには、SSスタッフの専門性や技術レベルを高め、顧客に的確なアドバイスができるだけのキャパシティをもち、時には部品メーカーやカーディーラーの窓口になるなど、SSとドライバーが他のパートナーも含めてコラボレーションする仕組みが必要になると考えられる。また、「SSは単なる給油場所である」というドライバーの意識を変えるためには、SS店頭はもちろんさまざまな場所で顧客との接点をもち、安全走行や快適なカーライフに関する情報を提供し続ける仕組みも必要になろう。

SSコラボレーションネットワークの実現

 こうしたSSを起点としたドライバーサポートを実現する仕組みを、NRIガーデンネットワークでは「SSコラボレーションネットワーク」と呼び、SS業界への提案を行っているところである。このネットワークでは、ドライバー、SS店頭、SS経営者間をできるだけ簡易に結びつけることを目指し、携帯電話をプレゼンテーションツールとして、携帯メール、音声などにより必要な情報の入出力ができるように考えられている。SSにとっては、ネットワークを通じてドライバーをサポートしていくという役割が明確になる。“車で困った時はSSに”という町医者的な機能をSSがもつようになれば、新たなビジネスチャンスも生まれるはずである。

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