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BPMの基本的枠組みとIT部門の役割ITソリューションフロンティア:トピックス(1/2 ページ)

» 2005年03月04日 04時35分 公開
[郡司浩太郎,野村総合研究所]

ビジネスとITにまたがる横断的テーマ

 近年、着目されているBPMについては、経営やユーザー業務の視点からその本質的意味や重要性が説明されていないこともあり、理解することが難しい状況にある。

 BPMの論点には、大きく業務管理手法と情報システムの2 つがある。各種の業務管理手法(シックスシグマ、カイゼン、バランススコアカードなど)、企業パフォーマンス管理、IT構造論(エンタープライズアーキテクチャー)、情報技術(Webサービス、SOAP、J2EEなど)と非常に多岐にわたっており、BPMが、ビジネスとITにまたがる横断的なテーマであることは間違いない。

 野村総合研究所(NRI)は、BPMの本質的意味を、“変化する環境下で、ビジネスプロセスの再設計およびその継続的改善を通じて、企業のパフォーマンス向上をし続ける合理的な管理手法そのもの”ととらえている。BPMシステムは、こうした活動を実行する上で、ITが足枷とならないように、企業内システムの疎結合化を実現するミドルウェア技術である。

 BPM活動は、企業活動をビジネスプロセスの集合体としてとらえる。すなわち、企業を“価値を創造する装置”ととらえ、価値を創造する部品(ヒトやシステムによる一連の作業)と、部品間の関係性(ビジネスプロセス)をダイナミックに調整・改善し、パフォーマンスの向上を追求していく、というのが基本的な考え方である。

 具体的には、(1)経営システム設計、(2)パフォーマンス評価指標の設計、(3)BPM業務サイクルの確立、(4)企業内IT構造の疎結合化、といった4 つの枠組みで、BPM活動を推進していくこととなる(図1参照)。

図1 (クリックで拡大表示)

(1)経営システム設計

 BPM推進の第一歩は、付加価値創出の根幹を、人・情報システム・設備などのリソースを組み合わせたビジネスプロセスととらえ、経営システム全体を再設計していくことである。すなわち、ビジネスプロセスは、企業の付加価値を生んでいく過程(バリューチェーン)を構成する基本単位となる。これは工場の生産過程をイメージすればわかりやすい。

 原料を投入し、製品が製造される過程を1つのビジネスプロセスととらえると、各工程では、人手や機械設備による加工などの作業によって付加価値が生み出される。また、個別作業全体の流れは工順(工程の順番を定めたもの)として定義される。

 一方、各々の作業には、作業員・利用設備などのリソースが割り付けられる。さらに、歩留まり率や加工精度などの品質条件や、受け渡し方法などのルールを工程間で設定し、工程全体のパフォーマンスをモニタリングして、生産性を追求していく。

 BPMでは、個々のビジネスプロセスを付加価値創出の目的に応じて合目的的に設計し、流れを管理していく。その手順は、[1]管理すべき作業の粒度の設定(標準作業の設定)[2]プロセスやルールの設計(工順の設計)[3]作業へのリソースの割り当て(要員計画など)[4]当該プロセスのオーナーの明確化(責任権限の明確化)といった内容になる。

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