コラム
» 2004年01月27日 18時20分 UPDATE

e-Day:ベビーブーマーの定年とJ2EEの関係

ベビーブーマーがあと数年で60歳を迎え、IT分野でも多くの技術者が第一線から退く。いわゆる「2007年問題」だ。メインフレームのリホストが加速するとみられているが、その受け皿は準備されているのだろうか。

[浅井英二,ITmedia]

 「もう一度、足元を見つめ、当たり前のことをやる」── そう静かに話したのは、日本BEAシステムズを率いるロバート・スチーブンソン社長。年明け早々の先週、プレスとの昼食会でのことだった。

 BEAの米国本社では既に昨年3月、「Convergence」(収れん)を掲げ、それを具現化した新しいプラットフォーム「BEA WebLogic Platform 8.1」を売り込んでいる。バブルの後遺症のせいか、既存のシステムを連携させることによって、情報の流れをうまく作り出し、それを生かして競争力を維持しようという取り組みが米国では盛んだ。それに着目したBEAは、WebLogic Platform 8.1によって、アプリケーション開発とインテグレーションの統合を図り、依然としてポイント・ツー・ポイント・ソリューション(点と点をつなぐ遣り繰り)でコストがかさむEAI(Enterprise Application Integration)分野に新風を吹き込もうとしているのだ。

 こうした本社の動きがあれば、ITベンダーの日本法人は、海の向こうのメッセージを伝え、鳴り物入りで“イケイケどんどん”のはずなのだが、スチーブンソン氏は違う。

 1970年代後半、交換留学生として同志社大学に学んだ彼は、日本の武道の熱心な実践家でもある。特に合気道は師範で六段の腕前だ。

 「スローダウンして、周囲を見渡し、大切な底上げを図りたい」と話すスチーブンソン氏に武道家としてのイメージが重なる。

 もちろん、日本BEAも昨年7月には日本版であるWebLogic Platform 8.1Jの出荷を開始し、数社の先進導入企業が近く紹介されるというが、「売り上げのほとんどは、(J2EEアプリケーションサーバの)WebLogic Application Serverとトランザクション処理モニタ製品のTuxedo」(スチーブンソン氏)というのが現実だ。

2007年にベビーブーマーが定年

 「2007年問題」という日本市場にユニークな事情もある。

 2000年問題はITバブルの一因ともなり、それは大騒動を引き起こしたが、こちらは意外と知られていない。2007年になると、第2次世界大戦後のベビーブーマー(いわゆる“団塊の世代”:1947年〜49年生まれ)が定年を迎え、IT分野でも多くの技術者が第一線から退くとみられている。年代的にも彼らにとってのコンピュータは、メインフレーム。「世界有数のメインフレーム大国」と揶揄されてきた日本だが、それを支えてきた彼らの引退に伴い、メインフレームの多くがオープンシステムへのリプレースを余儀なくされるというのだ。

 これを「危機」と見るか「機会」ととらえるか──それは立場によって異なるだろうが、地殻変動は既に始まっていて、サントリーのようにJ2EEによるアプリケーションのコンポーネント化を積極的に進め、保守運用コストのかさむメインフレームを段階的に置き換えている企業もある。

 仮にメインフレームの保守運用コストが信頼性と引き換えに許容できても、新しいサービスを次々と展開していくプラットフォームとしては不向きだ。

 「auが第3世代ケータイでナンバーワンになれたのは、“着うた”のような魅力的なサービスを矢継ぎ早に提供できたからだ」(スチーブンソン氏)

 スチーブンソン氏が「足元を見つめて」と話す背景には、メインフレームのリホストという大きな市場機会が創造されるのに、それに応えるだけのJ2EE技術者がまだまだ足りないという懸念があるに違いない。お堅いことで知られる日本の金融機関も、UFJグループが総合金融プラットフォームとしてJ2EEアプリケーションサーバであるWebLogic Serverを採用するなど、大きく変わりつつある。もはやJ2EEに技術的な問題はないという証左になるが、それだけに技術者不足が足カセになりかねない。

 BEAではJ2EE技術者の底上げを狙い、J2EEの最新技術情報をdev2devサイトで発信しているほか、新しい開発ツールであるWebLogic Workshopを利用したJ2EE開発の効率化を促していきたいとしている。

 このWebLogic Workshopは、Visual Basicの開発者で知られるアダム・ボースワース氏がBEAで新たに作り上げた「J2EE版VB」といえるものだ。「Javaコントロール」を再利用することで、J2EEに精通した技術者でなくとも、容易にJ2EE開発が行えるようになるという。1月28日には、Javaコントロール機能に的を絞った技術セミナーが東京で開催される(大阪は2月5日)。

 これまでJ2EEベースのコンポーネントビジネスは期待されながら不発に終わってきた。「VBパワー」で花が開くか?

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