コラム
» 2004年11月10日 14時24分 UPDATE

International Feel:第24次スーパーコンピュータ大戦、その歴史を振り返る

スーパーコンピュータの性能競争、IBM、NEC、SGIの三つ巴の争いになったが、NECからトップの座を奪ったのは“予告”通りIBMだった。3社の激戦の跡を、ここで振り返ってみよう。

[ITmedia]

 地上最大のロボットじゃなかった、地上最速のコンピュータを決める「公式ランキング」が11月8日夜、ピッツバーグで発表された。このランキングではIBMがトップ10のうち四つまでを獲得するという圧倒的な強さを見せ、NECの地球シミュレータをランキングトップから公式に追い落とした

 Linpack値でいうと、トップとなったローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)納入のBlue Gene/Lが70.72TFLOPS。2位はSGIがNASAエイムズ研究所に納めた"Columbia"で、51.87TFLOPS。今や3位となった地球シミュレータは35.86TFLOPSである。さらに4位には、「欧州最強」として発表されたIBM=スペインのMareNostrumが入賞。5位には1位と同じくLLNLに納入されたThunderが入っている。

 最終ランキングに駆け込むまでの、ここ1カ月ほど、スーパーコンピュータのトップランナーであるNEC、IBM、SGIの3社は熾烈な戦いを繰り広げていたので、その経過を振り返ってみよう。

 2002年3月に立ち上がった地球シミュレータは、2年半もトップの座を維持していた。ピーク性能40TFLOPSを誇り、同年4月18日にはLinpackで35.61TFLOPSを計測。当時のトップだったIBM ASCI Whiteに5倍の差をつけて以来、世界最速の座を明け渡すことがなかった。

 トップの座を奪われた地球シミュレータ開発元のNECはトップ奪還を図りたいところ。「迫る米国勢、ベクターで立ち向かうNEC」では、次期SX-8では64ノードのピーク性能が65TFLOPSに達すると発表しているが、そのためには1億3000万円×64=83億200万円が最低限必要だという。政府資金が潤沢な米国とは異なり、地球シミュレータの後継プロジェクトすら見えてこない日本では厳しそうだ。それに、仮にフル構成にしたとしても現在トップのIBMには追いつけない。

 前回のトップ500ランキング記事「NEC首位堅持、IBM勢躍進――スパコントップ500ランキング最新版が発表に」でもIBMは良好な結果を出しており、次回ランキングではトップを奪回すると「予言」していた。予告ホームラン達成、という感じだろうか。実はこれでもまだ未完成の状態なのだが、IBMはそこにとどまるつもりもないようだ。「最速の次は“ペタ”――さらなる高みを目指すIBMのスパコン」は、IBM ResearchのIBM Researchで研究用サーバシステム担当ディレクター兼Deep Computing Instituteディレクターのウィリアム・プリーブランク氏による寄稿記事。この中で、「数ペタFLOPSの性能を実現できるマシンの構築に狙いを定めている」とプリーブランク氏は述べている。

 NECは、IBMのBlue Geneをスカラー型と位置づけているが、「IBMのもう1つのスパコン技術は温故知新の複合型」によれば、IBMではスカラー型とベクター型の橋渡しをするVirtual Vector Architecture(ViVA)計画を持っているという。この方式を先駆けていたのが、既にスーパーコンピュータから撤退している日立だったというのも興味深い。

 ランキングで2位につけたSGIは、実に惜しかった。9月29日に36.01TFLOPSを叩き出したIBMが「地球シミュレータ超え」を宣言して1カ月もしない10月27日、SGIが最速の座を奪い取った。Linpack値は42.7TFLOPS。しかも、この時点ではフル稼働ではなく、20台中16台の状態で計測していたのだという。フル稼働状態では、51.9TFLOPSに達したという。TOP500の最終的な計測値は51.87TFLOPSとなっているので、この時点での数字が最終的なものになったと見られる。あと2週間乗り切れば大丈夫だったのだが、最後にはIBMにかっさらわれてしまったわけだ。

分析モード

 さて、このTOP500ランキングを統計的に見てみると、2つのポイントがある。ベンダー別、CPU別だ。まず、ベンダー別ではIBMとHPの2社が圧倒的に強く、この2社だけでランキング500サイトの4分の3を占めるという。

 次にCPU。SX-6/8のようなベクタープロセッサよりも汎用プロセッサが使われる傾向が高まっているスーパーコンピュータの世界で、どのCPUを選ぶかということは重要な問題だ。SGIのボブ・ビショップCEOはインタビューの中で、一つの答えを出している。SGIの答えはItaniumだ。リストの中でもItaniumは増加しており、ライバルのOpteronは減らしている。それでもスーパーコンピュータ向けWindowsと言われている「Windows Server Cluster Edition」で、Itanium 2はサポートされないという。その理由は「量が売れない」から。

 また、トップ10に限れば、10システムのうち4システムがIBM製で、PowerPCもしくはPOWERプロセッサが使われている。これにAppleのXserve G5を使ったバージニア工科州立大学System Xが加わるので、トップ10の半分をPOWERファミリーで占めることになる。スーパーハイエンドに関しては、明らかにIBMが勝者だ。

 もう一つ、OSというポイントもあるが、この分野ではやはりLinuxが強い。IBM、SGIともにLinuxを採用しているからだ。ここにMSが投入しようとしているのが上記のWindows Server Cluster Edition。果たしてTOP500にWindows版スーパーコンピュータがランクインする日は来るのだろうか?

 TOP500についてもっと詳しく知りたい人は、公式サイトへどうぞ。ランキングの全リストを見ることができる。

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 温故知新なんて言葉まで登場したスーパーコンピュータTOP500関連記事だが、音楽の世界でもこの言葉は通用しそうだ。

 Appleとコラボしたり海賊版が出回ってiTunes Music Storeで新アルバムを先行販売するかもというU2の話ではなく、ジョス・ストーンの話だ。まだ17歳だというのに、ジャニス・ジョップリンを彷彿させるその歌には'70年前後のテイストがたっぷりと詰まっている。しかもそのテクニックと、それをひけらかさない自然さ。思わずジャニスのボックスセットを聴き直してしまったくらいだ。

 そのジョス・ストーン、iTunes Music StoreのCelebrity Playlistに登場している(ちょっと前だが)。きょうは、そのルーツをたどって彼女推薦の楽曲をiTunesで買ってみよう。あ、まだ買えないんでしたっけ?

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