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IBMのBlue Gene/L、正式に「世界最速」に

» 2004年11月09日 08時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 IBMのBlue Gene/Lは11月8日、地球シミュレータのおよそ2倍の性能により、半年に一度更新される世界最速スーパーコンピュータTop500リストで正式に1位を獲得した。このリストの上位10台のうち、4台がIBMが構築したマシンだった。このリストは8日夜、米ピッツバーグで開催のSC2004カンファレンスで発表される。

 Blue Gene/Lは2005年前半に米ローレンス・リバモア国立研究所に納入される1億ドルのシステムのプロトタイプで、3万3000個のプロセッサを搭載する。このシステムは70.72TFLOPSの性能を記録(1秒間に70.72兆回の演算が可能)し、地球シミュレータが2002年にTop500リストの1位を獲得して以来、初めて新たにトップの座についたシステムとなった。

 IBMによると、ローレンス・リバモア国立研究所で組み立てられる完成版Blue Gene/Lは13万プロセッサを搭載、ピーク性能は推定で360TFLOPSになる。

 8日のTop500リストで2位にランクインしたのは、SGIが米航空宇宙局(NASA)エイムズ研究所向けに構築した1万240プロセッサ搭載の「Columbia」だ。性能は51.87TFLOPSで、35.86TFLOPSのNECの地球シミュレータを軽く抜いた。

 またバージニア工科大学がTop500リストに再登場し、7位を獲得した。前回はApple ComputerのXserveシステムにアップグレード中だったため、リストには載らなかった。同大学の「SuperMac」のベンチマーク結果は12.25TFLOPSだ。

 Top500リストは、マシンの所有者あるいはメーカーが自発的に提出したベンチマーク結果から作成される。マシンの性能は、特定の計算を行うスピードを測定するLINPACKベンチマークテストで評価される。

 LINPACKは全体的な性能を測る普遍的な指標ではないと批判されることもあるが、Top500リストの上位に入るのは誰もが望むことであり、コンピュータメーカー各社はこの数カ月、8日のリスト発表に向けて先を争って他社のベンチマーク結果を追い抜こうとしてきた。

 IBMは9月、Blue Gene/Lが地球シミュレータをわずかに上回ったことを示すベンチマーク結果を発表した。その1カ月後、NECは12月に65TFLOPSのスーパーコンピュータを出荷すると発表した。その後SGIのシステムが、Blue Gene/Lと地球シミュレータを超えるLINPACKベンチマーク結果を公表した。

 ベンダー各社が上位に入ろうと並みならぬ競争を繰り広げているにもかかわらず、Top500リストは近年、基本的に「2社の対決」になっているとローレンス・バークレー米国立研究所のコンピュータ科学者で、このリストの作成者の1人でもあるエーリッヒ・ストロマイヤー氏は語る。同氏によると、IBMのシステムは216台、Hewlett-Packard(HP)のシステムは173台がランク入りし、リストに載ったシステムのうち両社製のものが75%以上を占めているという。

 Top500リストに載ったシステムの大半は米国製だが、アジア製のスーパーコンピュータも着実に増えているとストロマイヤー氏。例えば中国製システムは17台ランク入りしている。「1年前の9台から大きく増えている。中国製システムが初めてランク入りしたのはわずか2〜3年前のことだ」と同氏は話している。

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