主要製品の移行は、テクノロジーサプライヤーにとってパートナーやユーザーにメッセージを伝える好機となる。それは「ユーザーへの気遣い」といった類のものもあれば、思いやりとは言い難いものもある。Vistaはどうだろう。
2007年のWindows Vistaリリースに向けたMicrosoftのアプローチはようやく見え始めたばかりだが、Vistaへの移行プロセスは、AppleがMac OS Xへの移行でMacコミュニティーに働き掛けた手法とは対極にあるかに見える。
8月29日、Amazon.comはVistaの予約受付を開始した。価格体系はWindows XPのそれとほぼ同じだ。
価格は199ドルのHome Basic版から399ドルのVista Ultimate版まで。もちろん、アップグレードに関してはさまざまなSKU(製品型番)と価格が用意される。
Vistaのハードウェア要件とパフォーマンスに関する最近のコラムへの反応を見る限り、多くの読者がアップグレードに関して静観する構えのようだ。Windows XPからの移行に大きな価値を見出していない読者がほとんどだった。
リセラーでさえ、ハードウェアのアップグレード状況に懸念を示している。しかもこれはWindows SKUと価格が明らかになる前の話だ。
「Vistaを走らせるために必要なシステムのコストは、大半のコンシューマーの手が届かない額になるだろう」と、米ウィスコンシン州を本拠とするVAR(付加価値再販業者)、グレッグ・ハートマン氏は記している。
「わたしの主な顧客は平均的なホームユーザーなので、この価格が彼らにとって高すぎるであろうことはよく分かる。いずれにしても、平均的ユーザーがそんなマシンを必要とするだろうか?」(同氏)
「正直言って、米国の企業顧客がこのOSの稼働に必要なすべてのアップグレードに金を投じられるとは思えない。なぜ(Microsoftは)Windows XPを改良するにとどめることができないのか?」とも。
それでも、顧客が望む望まないにかかわらず、来年の1月30日あるいは第1四半期中には、Windows Vistaを搭載した新しいデスクトップPCやノートPCが登場する。企業顧客は引き続きプリインストールされたWindows XPを入手することができる。
だが、ほとんどの中小企業ユーザーと、もちろんコンシューマーは、一様に移行させられることになる。これらのユーザーは、自分のPCに搭載されているOSのライセンス条件を忘れている(あるいは「決して理解することのない」と言うべきかもしれない)顧客だ。
さらに悪いことに、こうしたユーザーは、新しいマシンにWindows XPのインストールディスクを入れれば、すべてこれまで通りの環境で使えると思い込んでいる。だがそれは違う。
それではVistaの場合、MacユーザーがMac OS Xに移行したときとどう違うのか?
Mac OS Xの第一弾は2001年3月24日にリリースされた。価格は129ドル。ちなみに今日もこの価格は変わっていない。
Cheetahと呼ばれたMac OS X v.10.0は当初、小売り用のパッケージの形態のみで提供された。その数カ月後、同バージョンはMacintoshに搭載されて出荷された。
Mac OS X 10の最初のバージョンには苦情が寄せられた。一部のマシンで時折速度が落ちたり(チーターのようには走らなかったわけだ)、プリンタ出力がうまくいかなかったり、作業によって大小の問題が発生するなどしたためだ。また、このOSのインタフェースは、何年もかけて改良され、ユーザーが慣れ親しんだ従来のMac OSとは異なるものだった。
リセラーが語ったところによると、当時彼らは顧客にCheetahを勧めなかったという。というのも、リセラー自身がこの新しいOSに不慣れでサポートする自信がなかったこともあるが、Microsoft Wordや主要なコンテンツ作成用のプラットフォームアプリケーションなど、Mac OS Xにネイティブ対応していないものが多かったからだという。
ただし、Mac OS XはAppleハードウェアにおける二次的なOSだった。デフォルトブートはMac OS 9.1だった。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR