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Vistaへの移行でMicrosoftがAppleから学ぶべきこと(1/2 ページ)

» 2006年09月04日 11時47分 公開
[David Morgenstern,eWEEK]
eWEEK

 主要製品の移行は、テクノロジーサプライヤーにとってパートナーやユーザーにメッセージを伝える好機となる。それは「ユーザーへの気遣い」といった類のものもあれば、思いやりとは言い難いものもある。Vistaはどうだろう。

 2007年のWindows Vistaリリースに向けたMicrosoftのアプローチはようやく見え始めたばかりだが、Vistaへの移行プロセスは、AppleがMac OS Xへの移行でMacコミュニティーに働き掛けた手法とは対極にあるかに見える。

 8月29日、Amazon.comはVistaの予約受付を開始した。価格体系はWindows XPのそれとほぼ同じだ。

 価格は199ドルのHome Basic版から399ドルのVista Ultimate版まで。もちろん、アップグレードに関してはさまざまなSKU(製品型番)と価格が用意される。

 Vistaのハードウェア要件とパフォーマンスに関する最近のコラムへの反応を見る限り、多くの読者がアップグレードに関して静観する構えのようだ。Windows XPからの移行に大きな価値を見出していない読者がほとんどだった。

 リセラーでさえ、ハードウェアのアップグレード状況に懸念を示している。しかもこれはWindows SKUと価格が明らかになる前の話だ。

 「Vistaを走らせるために必要なシステムのコストは、大半のコンシューマーの手が届かない額になるだろう」と、米ウィスコンシン州を本拠とするVAR(付加価値再販業者)、グレッグ・ハートマン氏は記している。

 「わたしの主な顧客は平均的なホームユーザーなので、この価格が彼らにとって高すぎるであろうことはよく分かる。いずれにしても、平均的ユーザーがそんなマシンを必要とするだろうか?」(同氏)

 「正直言って、米国の企業顧客がこのOSの稼働に必要なすべてのアップグレードに金を投じられるとは思えない。なぜ(Microsoftは)Windows XPを改良するにとどめることができないのか?」とも。

 それでも、顧客が望む望まないにかかわらず、来年の1月30日あるいは第1四半期中には、Windows Vistaを搭載した新しいデスクトップPCやノートPCが登場する。企業顧客は引き続きプリインストールされたWindows XPを入手することができる。

 だが、ほとんどの中小企業ユーザーと、もちろんコンシューマーは、一様に移行させられることになる。これらのユーザーは、自分のPCに搭載されているOSのライセンス条件を忘れている(あるいは「決して理解することのない」と言うべきかもしれない)顧客だ。

 さらに悪いことに、こうしたユーザーは、新しいマシンにWindows XPのインストールディスクを入れれば、すべてこれまで通りの環境で使えると思い込んでいる。だがそれは違う。

 それではVistaの場合、MacユーザーがMac OS Xに移行したときとどう違うのか?

 Mac OS Xの第一弾は2001年3月24日にリリースされた。価格は129ドル。ちなみに今日もこの価格は変わっていない。

 Cheetahと呼ばれたMac OS X v.10.0は当初、小売り用のパッケージの形態のみで提供された。その数カ月後、同バージョンはMacintoshに搭載されて出荷された。

 Mac OS X 10の最初のバージョンには苦情が寄せられた。一部のマシンで時折速度が落ちたり(チーターのようには走らなかったわけだ)、プリンタ出力がうまくいかなかったり、作業によって大小の問題が発生するなどしたためだ。また、このOSのインタフェースは、何年もかけて改良され、ユーザーが慣れ親しんだ従来のMac OSとは異なるものだった。

 リセラーが語ったところによると、当時彼らは顧客にCheetahを勧めなかったという。というのも、リセラー自身がこの新しいOSに不慣れでサポートする自信がなかったこともあるが、Microsoft Wordや主要なコンテンツ作成用のプラットフォームアプリケーションなど、Mac OS Xにネイティブ対応していないものが多かったからだという。

 ただし、Mac OS XはAppleハードウェアにおける二次的なOSだった。デフォルトブートはMac OS 9.1だった。

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