コラム
» 2007年06月25日 10時30分 UPDATE

金融・経済コラム:売れるためのキーワードはコミュニケーション

おとりよせネット、ビリーズブートキャンプ、Wii。ジャンルはまったく違いますがこの3つの人気商品/サービスには、コミュニケーションが重要な役割を果たしているという共通点があるのではないかと思います。

[保田隆明,ITmedia]

ECでリアルコミュニケーションが盛り上がる

 先日、おとりよせネットを運営するアイランド株式会社の粟飯原理咲さんとお話をする機会があったのですが、おとりよせは、コミュニケーション商材だから人気なのだとお話されていました。「そうだよね、ネット上の口コミを見て商品を注文するんだから、コミュニケーションだよね」なんて思って聞いていたのですが、それだけではなく、ネット口コミはもちろんのこと、おとりよせネットで注文をした商品を、お客様が来たときに出す、パーティでみんなに振舞うことにより、リアルの場での会話が盛り上がることがミソだとおっしゃっていました。

 確かに「実はね、この商品は北海道からとりよせたものなの」なんて言われると、ありがたさも倍増、そして「そういえば私もこの前親戚が北海道から○○を送ってくれたんだけど〜」なんて具合にコミュニケーションの切り口になることは間違いなさそうです。

 おとりよせは地方の産地特産品が盛り上がっているのかと思いきや、それら以外でもバケツプリンという、その名のとおりバケツに入っている巨大プリンなども売れているそうです。パーティでドンとこのバケツプリンを振舞うと盛り上がること間違いなしだそうで、確かにその様子は想像しただけでも大ウケしそうです。

 ECに口コミが効くというのは当然になりつつありますが、単なるネット口コミではなく、リアルコミュニケーションのきっかけになっていることがその人気の秘密でもあるというのは盲点でした。

ビリー隊長とコミュニケーション

 話は変わりますが、ビリーズ ブート キャンプのビリー隊長が来日して盛り上がっています。なぜこれほどまでに人気なのだろうと考えるに、あれはダイエット目的の商品であると同時に、ビリー隊長とコミュニケーションをしているのが面白いからではないかと思います。もちろんこちらが「隊長!」と話しかけたところで返事はありませんが、絶妙なタイミングで隊長がモニター越しにこちらに話しかけてくれてきます。ビデオと分かっていても、「そう! 今まさにそんな台詞待っていたんだよ」というものを投げかけられることにより擬似コミュニケーションをしているのではないかと思います。

 また、隊員同士が「3日目で挫折したよ」「こっちは2巡目突入」「え?! マジで?! じゃあ、私も頑張らないと!」とDVDを離れたところでコミュニケーションを取って楽しめてしまうこともビリーズブートキャンプにはあるかと思います。

 実際、日曜日には400人がビリー隊長と一緒に1日の体験型エクササイズを楽しんだそうで、これもエクセサイズをしたい、隊長に会いたいという欲求と同時に、200人と一緒に体験型コミュニケーションをすることに魅力を感じて参加した方も多かったのではないかと思います。

Wiiは新たなコミュニケーション型ゲーム

 そして、いまさらですが、Wiiもゲームと楽しむと同時にプレーヤー同士のコミュニケーションを楽しむ、家族間の会話がはずむなど、ゲームをきっかけとしたコミュニケーションを提供しているのが人気の理由かと思います。コミュニケーション型ゲームという範疇で考えると、大人数が同時にプレーできるオンラインゲームや、それこそコミュニケーションそのものを楽しむ「ときめきメモリアル」のようなゲームもあったわけですが、気がついて見るとリアルコミュニケーションを促すというゲームはあまりありませんでした。

成熟産業でも発展、開拓の余地が生まれそう

 おとりよせネットも、Wiiも、そしてビリーズブートキャンプも、ひとつひとつの商品なりサービスが優れているのは間違いないのですが、一方で、私たちが、プリン、ゲーム、ダイエットという商品そのものを求めるというよりは、それをきっかけとしたコミュニケーションを求めるがゆえに人気になっているのではないかと思ったのでした。

 そう考えると、成熟していると思われる分野でも、コミュニケーションのきっかけになるにはどういう商品設計をすればいいか、そう考えるとまだ発展、開拓の余地があるのではないかと思います。

 口コミを巻き起こす方法に着目が集まっているご時勢ですが、口コミ戦略がうまく行ったがゆえに人気が出たという商品やサービスは実はあまり多くなく、商品設計の段階からコミュニケーション要素を埋め込んでおいたものが結果として口コミになっている場合が多く見られます。最近は口コミというマーケティング戦術に注目が集まっていますが、実は商品設計の方に勝機があるかもしれません。

保田隆明氏のプロフィール

リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券にてM&Aアドバイザリー、資金調達案件を担当。2004年春にソーシャルネットワーキングサイト運営会社を起業。同事業譲渡後、ベンチャーキャピタル業に従事。2006年1月よりワクワク経済研究所LLP代表パートナー。現在は、テレビなど各種メディアで株式・経済・金融に関するコメンテーターとして活動。著書:『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)、『恋する株式投資入門』(青春出版社)、『投資事業組合とは何か』(共著:ダイヤモンド社)、『投資銀行青春白書』(ダイヤモンド社)、『OL涼子の株式ダイアリー―恋もストップ高!』(共著:幻冬舎)、『口コミ2.0〜正直マーケティングのすすめ〜』(共著:明日香出版社)、『M&A時代 企業価値のホントの考え方』(共著:ダイヤモンド社)『なぜ株式投資はもうからないのか』(ソフトバンク新書)。ブログはhttp://wkwk.tv/chou/


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