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レコメンデーションの虚実(14)〜ソーシャルスパムの時代がまもなくやってくるソーシャルメディア セカンドステージ(1/2 ページ)

» 2007年12月17日 11時00分 公開
[佐々木俊尚,ITmedia]

ソーシャルメディアに悪意を持ったスパマーが入り込む

 前回(ソーシャルレコメンドは友人関係を壊しかねない)、モーニング娘。が好きなDさんのことを書いた。“わたし”はジャズが好きなのに、FacebookはデータフィードでDさんのモーニング娘。関連の購買行動を、逐一リポートしてきてくれる。「DさんはAmazonでモーニング娘。の写真集を買いました」「DさんはTower Recordでモーニング娘。のCDを買いました」「Dさんは今日、モーニング娘。のイベントに行きました」

 しかしDさんには、悪意はない。Dさんはただ自分の好きなモーニング娘。のCDや写真集を買い続けているだけのことであって、そこには邪悪な意図は何もないのだ。ただデータフィードを受け止める“わたし”の側が「うっとうしいなあ」と思っているだけなのである。しかしもし仮に、意図的にデータフィードを送ってくる友人が出てくるとどうなるだろうか。つまり金儲けのために、周囲の友人や知人たちに自分の行動をアフィリエイトまがいにばらまく人間が出てきたら、どうなってしまうだろうかという問題である。

 これは当然、スパム化を招く。友人がスパマーに変貌するというケースだけでなく、スパマーがスパムをばらまく目的でFacebookに流れ込んでくるというような状況をおそらくは引き起こすだろう。それはどのような人物だろうか?

「mixiで不労所得」ソーシャルメディアを使ったスパム例

イラスト

 例えば最近、インターネット上にあふれかえっているスパムのひとつに「mixiで月収93万円の不労所得を得た男」という情報商材がある。情報商材というのは、金儲けの方法などが書かれたテキストを売買するビジネスだ。そして情報商材の最近のヒット作として知られている「mixiで〜」は、mixiで金を儲ける方法として次のようなことを提案している。

 まずmixiに入会し、mixi内のコミュニティなどに参加している会員のページを読んで「足あと」をつけまくる。「足あと」というのはご存じのように、いつ誰がその人のページを訪れたかをあとからチェックできるようにした機能だものだ。そしてミクシィ上で知らない人からの「足あと」が付いていると、かなりの割合の人は「これは誰なんだろう?」と気になってその人のページを見に行くらしい。

 この導線をうまく使い、自分のプロフィールページに見知らぬ人たちを誘導してしまう。そうしてプロフィールや日記に「みなさん、初めまして! 情報商材で私はすごく儲かるようになりました」といった文章を置いておくというわけだ。誘導された人がこれに触発されて「どうやるんですか? 教えてください」といったメールを送ってきたら、「このWebサイトを訪れてみてください」とURLを書いて返信するのである。もちろんこのURLはアフィリエイトブログにリンクされていて、リンク先のエントリーにはこんな言葉がちりばめられている。

 「これからは格差社会です。年収200万円未満の貧困層に陥らないためにはどうすればいいのでしょうか?」「そうならないためには、手っ取り早く、しかもリスクの少ない副業にトライしてみましょう。具体的にはここをクリック!」。こうした刺激的な言葉を見た人がクリックして先に進むと、「mixiで月収93万円の不労所得を得た男」の販売ページに飛び、誘導された人がここで購入すれば、アフィリエイト広告料が入ってくるという仕掛けになっているわけだ。

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