今インターネットに必要ないもののリストを作らなければならないとしたら、そのリストの上位には新しいメディアプレーヤーが入るだろう。だから、Adobeが独自メディアプレーヤーをリリースしたと聞いたとき、まったくワクワクしなかったことは認めざるを得ない。
だが、これ以上メディアプレーヤーは要らないという考えは今も揺るがないが、Adobeが先週リリースしたAdobe Media Player 1.0がいいところを突いているかもしれないということは認めるほかない。
Adobe Media Playerはリッチインターネットアプリケーション(RIA)の好例だ。実際、AdobeのAIRプラットフォームを使って構築されている。ほかの優れたRIAと同様、Adobe Media Playerはデスクトップアプリケーションでもあり、インターネットアプリケーションでもある。
このソフトのダントツのメリットは、オンラインビデオをオフラインに持ってきて利用できることだ。ユーザーはビデオを選んでダウンロードし、飛行機の中など、インターネットに接続できない場合でも好きなときに視聴できる。
ああ、分かっている。何がすごいのかと言う人もいるだろう。BitTorrentから何でも好きなビデオをダウンロードして、好きなシステムでオフラインで見ることもできるのだから。
それはそうなのだが、オンラインビデオの合法サイドにとどまっていたい人にとっては、オフライン視聴の選択肢はあまりなかったのだ。
だがAdobe Media Playerはコンテンツ所有者が望むDRM保護を備えつつ、ビデオをオフラインでも再生できるため、当面はオフラインでビデオを見たい人にとって最適な選択肢かもしれない。
ソフト自体の使い方は簡単だ。インストールしたら、現在Adobe Media Playerで利用できるビデオのカタログを閲覧して、番組を「お気に入り」として選べる。カタログには幾つか便利な並べ替えオプションがあるが、もっとユーザーがカスタマイズできる余地があればよかったと思う。
番組をクリックすると、オフラインで使えるように自動的にダウンロードが始まる(コンテンツ所有者がダウンロードを許可している場合のみ)。それは構わないが、もっと直接的なダウンロードオプションがあった方がよかった。それに、番組ダウンロードの進捗を確認することはできるが、ダウンロード済み番組を一覧することはできない。ダウンロード済みのビデオやオフライン視聴可能なビデオを見分ける方法は、ビデオカタログのサムネイルに付いた小さなアイコンだけだ。
ビデオの視聴自体は問題なかった。一時停止したり、視聴を中断したときに、後で中断したところから再開できるのはよかった。
今のところ、視聴できるビデオの品ぞろえはやや少なく、主なコンテンツはパブリックドメインのビデオ(古いバッグス・バニーのアニメなど)、テレビ番組、インターネットビデオサイトの動画だ。個人用ビデオの機能もあり、ユーザーが自分のビデオを追加してAdobe Media Playerで見ることもできる。もっとも、ユーザーはそうしたビデオを再生できるソフトを既に持っている可能性はあるが。
大手ビデオサイトのどこかがAdobe Media Playerを採用するかどうかを考えてみるとおもしろい。既にFlashベースのプレーヤーを使っているHulu.comが採用することにしたら、ユーザーがAdobe Media Playerを使ってオンライン、オフラインで視聴できる高品質で合法的な映画やテレビ番組がかなり増える可能性がある。
Adobe Media Player 1.0はWindowsとMac OS Xに対応する。ダウンロードはこちら。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR