6月30日、MicrosoftはPCメーカー向けのWindows XPの販売を終了する。それで新たに販売されるPCからほとんどのWindows XPは姿を消す。「ほとんどの」と留保したのは、ダウングレード権は一部顧客への提供が継続され、システムビルダーは、2009年1月までXP搭載PCを出荷できるからだ。
これからの30日間は、Windows XP搭載の新PCを簡単に入手したい人にとっては正念場だ。だが、いっそのこと待つのはやめにしてVistaに挑戦したらどうだろう。これからの30日間をVistaだけで過ごしてみたら?
「30デイズ」のコンセプトは映画監督のモーガン・スパーロックが映画「スーパーサイズ・ミー」で打ち出したものだ。この映画でモーガンは、お察しの通り30日間McDonald'sのメニューだけを食べた。モーガンが30日間Vista生活をやったとは思わないが、やってみるべきかもしれない。
Windows XPが延命され、Microsoftが6月30日という有効期限を大幅に延ばすだろうという考えに固執した人がいる。Windows XPを中心的なPC市場にとどめておくとしたら、Microsoftの幹部連中は正真正銘の間抜けということになる。
先週わたしは、Windows Vista販売のお粗末な状況を考察するためにちょっとした計算問題を解いてみた。Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは先週、出荷されたVistaのライセンス数を1億5000万本と発表した。随分と多く感じるかもしれないが、米調査会社のGartnerが公表しているデータに多少の調整を加えると、2007年1月1日から2008年3月31日までの世界PC出荷台数は少なくとも3億3100万台だ。Gartnerの公表値にはx86サーバも含まれているが、わたしの推定値では、この期間中に出荷されたサーバ1100万台は差し引いている。わたしは最終的に、こう見積もった。Vistaは2007年1月30日以降、世界で出荷されたPCの37%に搭載された、と。
だが、企業のVista敬遠問題を考えれば、この見積もりは明らかに高い。より正確な計算では、一般販売開始以来のVistaの出荷本数は、恐らく出荷されたPC台数のせいぜい3分の1だろう。出荷されたPCにはLinuxとMac OSの搭載機もあるし、OS非搭載機や海賊版Windows搭載PCもあるのだ。MicrosoftのPC市場でのシェアを93%として、結論はただ1つ。出荷されたPCのほとんどはWindows XP搭載機で、そこにはVistaからダウングレードされた分は含まれていない。Microsoftは可能な限り早くWindows XPをPC市場から抹消する必要がある。
だから、MicrosoftがXPを延命するとしたら、わたしは仰天してしまう。わたしのMicrosoftへの忠告は、人事を尽くして迅速にXPをPC市場から抹消することだ。Windows XPはMicrosoftが排除する必要のある選択肢なのだ。
XPが去るのを30日待つべき理由は何もない。わたしの提案は、今すぐ30日間Vista生活を試すこと。わたしは既にVistaだけで30日間(実際はもっと長く)過ごした。XPも、Mac OS Xもなしに。30日間Vista生活は、それほど苦痛ではない。Service Pack(SP) 1がインストールされていればなおさらだ。
問題はまだ残っている。5月29日の夜、そうした問題の1つに出くわした。Nokiaが携帯電話のN95用ファームウェアのバージョン2.0をリリースした。同社はこのファームウェアアップデートのインストールにWindowsを使うよう指定している。そのアップデータをインストールしたのだが、実はWindows Vistaではもはや動作しないのだ。Nokiaは最近、一部のPCで問題が生じたことからVistaのサポートを中断した。そこでXP SP2の互換モードを使ったところ、ソフトウェアを動かすことはできたものの、ファームウェアアップデートには失敗した。幸いN95は故障しなかった。VistaのテストマシンにSP1をインストールしてから何度かアップデートを繰り返してみたが、そのたびに失敗した。
30日Vista生活で、あなたはどんな問題あるいはメリットを経験するだろうか。Vistaを使ったことのあるユーザーの皆さんからのコメントをお待ちしている。Microsoftにとって、「30日間Vista生活」は素晴らしいマーケティングキャンペーンになるだろう。モーガン・スパーロックにWindows Vista版「30デイズ」の番組制作を依頼すればいいのに。
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