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助けて、Appleジーニアス!――MacBook Air故障てん末記(前編)(1/2 ページ)

» 2008年06月26日 11時00分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 昨日、わたしには切実にMobileMeが必要だった。Appleのうたい文句通りにわたしのデータが至るところで同期化されていたら、予想外の災難からもっと早く復旧できていただろう。それにTime Machineでバックアップしていたら、命拾いをしていたかもしれない。だが、わたしはあまりに今を生き過ぎていた。ちょっと努力をすれば、過去を守れたのに。これからする話は告解だ。というのは、Appleが必要な道具を用意してくれているのに、バックアップをしなかったことへの言い訳はほとんどないからだ。どうか、わたしの愚行を教訓として生かしてほしい。

 MacBook Airを使い始めてから最初の1週間、HDDがどこかおかしいような気がしていた。HDDから頻繁にカリカリという音がしていたのだ。これまでの経験ではだいたい、カリカリ音がしたらHDDに何か問題があるということだ。2カ月前にApple Supportフォーラムで検索したところ、この音はAirオーナーの共通の問題だということが分かった。Appleのサポート文書には、この音は正常だというようなことが書かれている。

 カリカリ音が問題の兆候だとは言えない。正常なのかもしれない。だが、これだけは言える。この音は先週Airを使っている間はほとんどしなかった、たぶん、音がしなかったことが、異常の兆候だったのだろう。

 1カ月以上もの間、このカリカリ音が聞こえるたびに、バックアップを取ることを考えた。わたしはAirを購入したのと同じころに、Time Capsuleを買っていた。だが最初のセットアップは面倒で、高速バックアップのためにイーサネット接続が必要だった。常に執筆作業をしていたため、Time Capsuleのセットアップを延々と先送りにしていた。おかしなことに、昨夜ほかのジャーナリストにAirのトラブルのことをIMで話したところ、彼は4カ月間先延ばしにしていたTime Capsuleでのバックアップを前の日の夜に済ませたところだったという。彼もまた、最初のセットアップの面倒さを先延ばしの理由にしていた。バックアップのためにTime Capsuleを買ったというのに。

生産的な1日の始まり……のはずが

 昨日、わたしは早朝(太平洋時間)にiPhone 3Gの通話時間についての分析をブログに書いていた。その記事を午後2時(東部夏時間)ごろに掲載した――ここ西海岸では11時だ。ニューヨークにいる同僚のほとんどは会議中で、妻と娘はほぼ1日中外出している。つまり、あまり邪魔が入らず、生産性が上がるということだ。少なくとも4件記事を書くつもりだった。

 作業をしている間、HDDが壊れそうな兆候はほとんどなかった。この数日、カリカリ音はほとんどしなくなっていて、安心していた。ブログを保存するときに、小さなレインボーボール――アプリケーションやプロセスがビジー状態にあることを示すAppleのマーク――がいつもよりも頻繁に出た。執筆作業はほとんどブラウザでやっているため、レインボーボールも、一時停止状態がいつもより長いことも、Safari 3.1に関係があるのだろうと思った。この数日、タブをたくさん開いては、閉じないままSafariを再起動していたからだ。

 午後2時30分(東部夏時間)ごろ、iPhone 3Gの記事の校正と編集を終えた後、その日のビッグニュースだったFirefox 3の記事に取りかかった。Twitterには、Firefox 3がゲットできないという文句があふれていた。Mozillaの開発者関連文書の責任者エリック・シェパード氏は(リリース時間の)午後1時ごろTwitterに、「リリース直後にサーバがほぼ死んでしまった……ITスタッフが対処中」と書いていた。

 そこでFirefox 3のダウンロードを試みながら、わたしのブログMicrosoft WatchでMozillaの問題について書き始めた。午後3時ごろ、二十数回試した末に、やっとダウンロードが始まった。11K/secというのろさで。

 Firefox 3を責めてはいけないが、HDDが壊れたのは、ダウンロードの最中だった。執筆中に思いもかけず小さなレインボーボールが現れ、そのまま消えずに居座った。ダウンロードでSafariに負荷が掛かり過ぎたのだと思った。それまで数分間ブログの記事をサーバに保存していなかったので、最後の2段落を保存したかった。そこでSpotlight検索アイコンをクリックして、スクリーンショットを取るために「Grab」と入力した。Mac OS Xは完全にフリーズした。マウスカーソルは動いたが、ほかは動かなかった。

 だが外付けHDDに入れていたコールドプレイの再生は続いていたので、そのうちAirも動くだろうと考えた。このとき聴いていたアルバム「Viva la Vida」はその日の朝、iTunes Storeで買ったものだった。テクニックは正確で、録音は見事で、退屈なアルバムだ。詩的だが、そのときかかっていたのは「Death and All His Friends」だった。それがMacBook Airの最期の歌なのか、わたしには分からなかった。この曲を聴きながら、静物画になったMac OS Xのデスクトップを見つめ、待った。曲が終わった――おそらくはメモリにバッファされていたのだろう。わたしはただ黙って見つめていた。

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