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Silverlight 2はFlashにどこまで追い付けるか?

» 2008年10月14日 16時34分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは「コンピュータユーザーの4人に1人はSilverlightを利用している」と主張し、また一方では、Adobe Flashに追い付くべく、Silverlightの採用促進に努めている。同社によれば、新版の「Silverlight 2」はGoogleのブラウザ「Google Chrome」にも対応しており、さらに同社はGoogle Android携帯でのサポートも交渉中という。

 Microsoftは10月13日、メディア再生用ブラウザプラグイン新版「Silverlight 2」の正式版を発表した。この新版で最も興味深いのは、同社が普及率を重視している点だ。ソフトウェアの世界では誰もが広範な普及を目指すものだ。RIA(リッチインターネットアプリケーション)やリッチなメディア体験に関しては、現在、Adobe Flashがユビキタスな普及を果たしており、MicrosoftはSilverlightで追い上げを図っている状況だ。そしてAdobeは間もなく、Flashの最新版「Flash 10」をリリースする。

 だがMicrosoftによれば、既にコンピュータユーザーの4人に1人はSilverlightを実行するコンピュータを使用しているという。つまり、Silverlightの普及率は約25%ということになる。AdobeはFlashの普及率を約95%としている。

 Microsoftのコーポレート副社長スコット・ガスリー氏は記者やアナリストとの電話会見で、次のように語っている。「希望のレベルまで普及率を引き上げるには数年かかるであろうことは最初から分かっている。だがリリースから1年で4人に1人のユーザーに使ってもらえているのは当社にとっては大成功だ」

 Microsoftの開発プラットフォーム担当ディレクター、ブライアン・ゴールドファーブ氏も、Silverlightを「大きな成功」ととらえているという。

 「まだペダルを漕ぐ力を緩めたりはしない。わたしはこれまで、Silverlightでユビキタスな普及を達成できるかどうかを疑問に思ったことはない。いつ達成できるかだけの問題だ」と同氏。

 Silverlightの採用拡大や、Microsoftがこの市場に競争をもたらしているという事実を喜ぶのもいいが、25%という普及率にはまだ大いに成長の余地がある。まあ、ガスリー氏が言っているように、確かに一部の国では普及率は既に50%を超えているのだろうが。

 わたし自身、Silverlightを使って北京オリンピックを楽しんだ。オリンピックのインターネット中継にSilverlightを採用させたのは、Microsoftにとって貴重なヒットとなった。ガスリー氏によれば、例えば、オリンピックや民主党大会など、ユーザーが動画をライブで視聴したい場合にはSilverlightが非常に便利だという。「またSilverlightはRIAアプリケーションを構築したい開発者や、よりリッチな開発プラットフォームを求めている開発者にも好評だ」と同氏は語っている。

 Silverlight 2は10月14日にダウンロード提供が開始される。Microsoftはこの新版のリリースに加えて、Silverlightについて幾つかオープンソース関連の取り組みも発表した。皮肉なことに、AdobeもFlashのオープンソース化をめぐり大きなプレッシャーに直面している。ただし、どちらも自社のRIAソフトウェアの本格的なオープンソース化を目指しているわけではなさそうだ。

 一方、ガスリー氏によると、MicrosoftはiPhoneへのSilverlightの搭載をめぐり、Appleと話し合いを行ったが、AdobeのFlashと同様、この提案は却下されたという。ただし、同氏によれば、GoogleのAndroid端末でのサポートについては、両社とも前向きに検討中という。さらに同氏によると、Google Chromeの開発チームとの共同作業のおかげで、Silverlight 2はChromeで非常にスムーズに動作するという。

 こうした取り組みにより、Microsoftは恐らくSilverlightの普及率をさらにいくらか高めることができるだろう。

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