Mac OS Xは一部の人から極めて安全なOSだと思われている。その人たちは、同OSには多くのセキュリティ機能があるため、Appleのソフトを使えば、危険を冒してMicrosoftのWindowsを使うよりもずっと安全でいられると主張している。Microsoftがパッチを当ててきたセキュリティ脆弱性の数と、Appleのそれとを比べれば証拠は歴然だと彼らは言う。そのロジックの真相が見え始めていることを彼らは知りたがるかもしれない。それは単なるミスリーディングなのだ。
Appleは先に、Mac OS X 10.5 Leopardのアップデートをリリースした。Airportシステムとの互換性向上やBluetoothの信頼性強化のほか、18件のセキュリティフィックスを盛り込んでいる。これらのフィックスは、悪意を持ったハッカーがシステムファイルにアクセスすることを許したり、第三者が画像リンクを利用してユーザーのコンピュータにアクセスすることを可能にする問題などを修正するものだ。
膨大な時間と費用をつぎ込んでMicrosoftのセキュリティ問題を非難してきたAppleが、自社のOSが侵害されないよう、18件ものセキュリティフィックスをリリースしなければならないのは皮肉なことだ。だが一方では、Appleがこれらのフィックスをリリースしたことはほめられるべきだ。ユーザーを危険にさらすセキュリティ問題に対処できなかったら、Appleは自分の仕事ができていないということにしかならない。だがAppleはセキュリティ問題にパッチを当てた。だからおそらく、同社は自分の仕事をしているのだ。
しかし、AppleがOSを修正したという事実は問題ではない。そうではなく、ここで考える必要があるのは、Appleが「Mac OS Xは極めて安全だ」という神話を掲げ続けていることが、同OSのユーザーにもっと多くの問題を引き起こしかねないという事実だ。そうなれば、これまでセキュリティに関して口が堅かったAppleも、Mac OS Xは一部の人が考えているほど安全ではないと認めるかもしれない。
セキュリティは数当て式のくじのようなものだ。あるOSを使っている人が多いほど、悪意を持ったハッカーがそれにつけ込む機会が大きくなる。Windowsが標的にされてきた大きな理由の1つがそれだ。セキュリティ分野では、脆弱性が多ければ犠牲者も多い。もうけも大きいことになる。要するに、悪意あるハッカーは最もリターンが大きいところを狙いたがるということだ。だから彼らはこれまでWindowsを狙ってきた。WindowsがOS市場で優勢であることを考えると、今後も同OSは標的となり続けるだろう。
だがMac OS Xは勢力を増しつつある。スティーブ・バルマー氏は一貫して、AppleのOS市場での躍進は大したものではないと主張しているが、ハッカーはそうは思わない。彼らはチャンスを見出している。Mac OS Xはあまり試練を経験しておらず、おそらくセキュリティ問題にかなり脆弱だと気付いている。Mac OS Xユーザーを守るウイルス対策ソフトやスパイウェア対策ソフトがほとんどないことも理解している。もっと重要なのは、Appleとその支持者が培ってきた文化が、Mac OS Xを格好のターゲットにしていることを彼らが認識しているということだ。
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