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» 2007年03月16日 14時05分 UPDATE

平本メソッド 行動の指針:第6回 相手を説得する──「1人でタイプ」と「誰かとタイプ」

最終回は、「1人でタイプ」と「誰かとタイプ」を紹介しながら、これまでのパターンを総括します。複雑な心の動きも、パターンの組み合わせですっきり納得でき、相手のタイプに合わせた効果的なセールストークが可能になります。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
平本メソッド 行動の指針
  連載タイトル
1 心の動きに合った会話で相手を説得する
2 相手を説得する──「人の評判タイプ」と「自分の納得タイプ」
3 相手を説得する──「自分のためタイプ」と「人のためタイプ」
4 相手を説得する──「賛成タイプ」と「反対タイプ」
5 相手を説得する──「可能性タイプ」と「必要性タイプ」
6 相手を説得する──「1人でタイプ」と「誰かとタイプ」

 最後に紹介するのは、「1人でタイプ」と「誰かとタイプ」です。「1人でタイプ」は、仕事でもなんでも、1人でやったり1人で決めたりするほうがいいタイプです。反対に、「誰かとタイプ」は、人と一緒にやることを好むタイプです。

 一番わかりやすい例が、中学・高校時代の試験勉強です。「一緒に勉強しようよ」と友達が来てしまった時点で全く勉強にならない人と、1人で机に向かっていると本なんかを読み始めて全然勉強が進まないのに、隣に誰かがいると集中できる人、というように必ずどちらかのタイプに分かれます。1人の方が能率の上がる人が「1人でタイプ」で、誰かと一緒にいるほうが能率の上がる人が「誰かとタイプ」ということです。

 ただ、自分のタイプに合わせて正しく行動できているかは分かりません。1人でやったほうがいいのに人と一緒に遊んでしまう人もいるし、人と居たほうがいいのに1人でやろうとして失敗してしまう人もいます。仕事でも、家でPCに向かって1人で作業しているほうが能率の上がる人と、横でメンバーが全然違うことをしていても、ときどき会話をしながら作業すると進む、という人とがいます。なおこの場合、コミュニケーションをとる必要はありません。そこに誰かがいるだけでいいのです。

 例えば、図書館で勉強すると進む、という人でも、「周りに人がいるから」という理由でしたら「誰かとタイプ」ですし、「家だと人がいて集中できないから、1人になれる図書館で」というなら「1人でタイプ」です。作家でも、「書いている間はじゃましないで」といって部屋にこもって書くという方は「1人でタイプ」ですね。ところが、部屋を子供が走りまわっていたり、ダンナさんなんかが料理をしたりしていると能率が上がる人なら、「誰かとタイプ」です。

平本 自分で、どちらのタイプだと思いますか?

斎藤 原稿執筆は1人のほうがいいので、パソコンを持って喫茶店に行ったりするんですよ。ただ、アイデアを出したり何かのプランを考えたりするときには、1人だと煮詰まるので、誰かと一緒に考える方がいいです。

平本 どっちのほうが楽しいですか?

斎藤 人といるほうが楽しいですね。

平本 じゃあ、「誰かとタイプ」の傾向が強いんですね。


1人で買うか、誰かと買うか

  これはものを買うときにもいえることで、1人で決めるほうがいい人と、人と一緒に決めるほうがいい人がいます。例えば買い物の面白い例として、Aさんの場合を紹介しましょう。

 Aさんはこれまで紹介してきた6つのパターンでいうと、「向かうタイプ」+「自分の納得タイプ」+「自分のためタイプ」+「反対タイプ」+「誰かとタイプ」という人です(可能/必要タイプは省きます)。「誰かとタイプ」なので、例えば時計を買いにいくときに誰かに一緒についてきて欲しいな、と思って「時計を買いに行くので一緒についてきて」と、例えば夫や彼氏に頼むのは、ごく普通のことです。ですが、Aさんは「反対タイプ」なので、相手が何を言っても反対するし、相手の意見を聞かないのです。一緒に行ってあげるほうは、「だったら1人で来て買ってよ」と思うかもしれません。ですが、「誰かとタイプ」なのでAさんとしてはついてきてほしいのです。「俺の意見は聞かないし、お前に賛成したらそれにも反対する。なんで俺がここにいなきゃならないんだ」と思っちゃいますね(笑)

 女性の買い物に付き合って、次のような目に遭ったことがある人がいるかもしれませんね。この女性は、反対タイプかつ可能タイプです。「俺はAがいいと思うよ」というのに対して「いや、私はBがいいと思う」というから、「そうなんだ。じゃあ、Bがいいんじゃない?」といったら、「いや、Bはここがダメ」とかなんとか言うのですね。「じゃあ、Aにするの?」というと、「いや、それはダメなの」。「Bはどこがいいの?」と聞くと、「○○と××がいい」という。「じゃあ、Bでいいんじゃない? ○○と××がいいならBにしたら?」というと、「いや、私はそういう理由では選べない」などと言い出します。一緒に行った人は「お前が言ったんだろ、その理由は」と思いますよ(笑)。1人で買いにくればいいじゃないか、と思うんですが、誰かとタイプだから「一緒に来てほしい」と言うんですね。

 もしこの彼女が必要性タイプだったら、「じゃあ、次回までに考えておけば」という提案に対して、「いや、これはあさってのミーティングまでに必要だから、どうしても今日、買わなきゃダメ」と言ってくるでしょう。「だったら、これを買えば」という薦めに対しては、反対タイプだから反対します。このように、一見理解できないようでも、ちゃんとパターンがあるのです。

 反対タイプでなければ、「自分の意見を通すヤツ(自分の納得タイプ)なんだな」と分かりやすいのですが、こちらから意見を言ったら自分の意見を通す上に、その意見に賛成したら、今度はそれに反対してくる。では、薦めた方を買うのかといえば、やっぱり自分の決めたほうを買う。タイプを知らなければ大変ですね。

斎藤 ビジネス上で、「これはいいんだけど、たぶん上の許可が下りないんだよね〜」って言う方の場合です。それが本当に、上司の許可が下りない、つまり「僕だけじゃ決められない」という話なのか、上司のせいにして断ろうとしているのか。

平本 そういうときは、「○○さんはどう思いますか? これで決めたいですか?」「もし○○さんに裁量権があったとしたら、どうですか?」と聞いてみてください。そうすると逃げられませんよね。

斎藤 そうですね。

平本 そのとき、「私に裁量権があったとしたら、まあ、いいかな、と言うと思うんですけどね……」みたいな感じだと、ダメってことです。「けどね……」はダメなことが多い。でも、それ以上はっきりさせるとお互いにマズイことになるので、こちらも「じゃあ、またぜひ検討してください」というしかないです。それが、「僕に裁量権があったら、すぐ決めますよ」と即答したら、本当に上司の許可が必要だってことですね。

斎藤 そこの本音を見抜かないといけないわけですね。「じゃあ、次回上司と一緒に来てください」なんて言ったら、人によっては怒っちゃうかもしれませんからね。

平本 本当にいらない場合は、「ちょっとバタバタしているので、時間をまた取って……」みたいに言ってきますよ。でも、その前に「ちょっと、その部長さんは置いておいて、あなたに裁量権があったら、どうですか?」と一度聞いたほうがいいですね。「いいと思います」だったら本当にいいと思っているのでしょうし、「うん、まあ、ね、比較的、いいとは思うんですが……」くらいだと、お断りします、ってことでしょうね。


まずは「向かう/避けるタイプ」と「人の評判/自分の納得タイプ」、から

以上、(1)「向かう/避けるタイプ」、(2)「人の評判/自分の納得タイプ」、(3)「自分のため/人のためタイプ」、(4)「賛成/反対タイプ」、(5)「可能性/必要性タイプ」、(6)「1人で/誰かとタイプ」の6パターンを紹介してきました。差が出やすく重要なパターンから紹介しています。大抵の場合は、(1)、(2)、(3)を押さえれば、相手のタイプが分かるはずです。(4)の賛成/反対タイプは顕著に出ますから、放っておいても大丈夫です。また、(5)の可能性/必要性タイプは(1)の向かう/避けるタイプにかなり近い部分があります。

 実践する際には、まず(1)「向かう/避けるタイプ」、(2)「人の評判/自分の納得タイプ」をチェックして対応してみてください。これだけでも、だいぶ効果があるはずです。(3)の「自分のため/人のためタイプ」を活用する際、相手が企業だったら表現を工夫しましょう。担当者が「人のためタイプ」だったら「この商品があると、御社にとってどれだけ……」というような薦め方。また、「自分のためタイプ」だったら、「これが導入されたら、あなたの評価が高くなりますよ」「あなたの業績が上がりますよ」「あなたの株が上がりますよ」という薦め方が有効です。

おまけ 親しくなったあの人を旅行に誘う場合

 女性でも、1人でいる時間を大事にしたい人と、二人でいる時間を楽しみたい人がいます。「1人でタイプ」を旅行に誘う場合には、例えば「伊豆に行ったら、こういう場所があって、そこで2〜3時間、1人で過ごせる時間もあるよ」と言ってもらえると、「1人の時間もあるんだ」と思ってほっとして行く気になります。また、海外旅行の場合。彼女は1人でタイプだけど、英語は話せないとしましょう。そんな人にも「ハワイのあのへんなら日本語が通じるし、半日くらい1人でショッピングしていても全然問題ないよ。夜に待ち合わせするのもいいじゃない」といって薦めると、「1人で過ごせるからいいな」と思うはずです。

 「誰かとタイプ」の場合、恋愛や人間関係に関しては、二人でタイプと大勢タイプの2タイプがあります。誰かとタイプでも、二人っきりでというのが大事な人と、みんなでというのが大事な人とがいるわけです。「○○に行けば二人っきりで過ごせるよ」という方がいいタイプと、「もちろん二人で行くけれど、みんなともワイワイ楽しめるよ」というと喜ぶ人がいます。タイプに合わせた予定を立ててください。


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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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