連載
» 2007年06月18日 21時34分 UPDATE

良いコミュニケーションを取るために:第1回 “やる気”って一体なんだ?

良いコミュニケーションを取るためには、態度や言葉、言い方といったスキルが重要です。今回から3回に渡って、スムーズなコミュニケーションを実現するための基本を紹介します。第1回では、良いコミュニケーションが行われているときの特徴を把握します。

[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
平本メソッド 良いコミュニケーション
  連載タイトル
  第1回 “やる気”って一体なんだ?
  第2回 コミュニケーションがスムーズなとき
  第3回 スムーズなコミュニケーションのポイント(3〜5)
  第4回 コミュニケーションの5つのチェックポイント(前)
  第5回 コミュニケーションの5つのチェックポイント(後編)
  第6回 「あなたメッセージ」よりも「わたしメッセージ」
  第7回 「事実」よりも「意見」を言う

 私たちが人とコミュニケーションするときに、ほとんどの場合は言葉を使って行います。その言葉は、その人自身の体験や五感、感情を伴って身体に焼きついた体験から生まれてきています。

 例えば、上司が部下に対して「やる気を出せよ」と言った場合を考えてみましょう。その“やる気”というのは上司の過去の体験から導き出された「こういうものが“やる気”だ」という基準のようなものがあります。例えばこの上司は、「おはようございます!」「こんにちは!」と、ハキハキと元気良く挨拶するのが“やる気”だと考えているとしましょう。ただ、細かい要素を言い出すと話が広がりすぎるので、“やる気”というワンフレーズにしているのです。

 ところが、「やる気を出せ」といわれた部下のほうは、分かりましたと言いますが、彼が理解する“やる気”というのは上司とは違います。例えば“数字を20%アップさせること”だと思ったとしましょう。“やる気がある”ということは結果で示すものだと思って、がんばって売り上げを上げました。でも相変わらず、挨拶の声には覇気がない。するとこの上司は「やる気が出ていない」と思ってしまう。部下は「なんで? 20%も上げたじゃないか」という感じです。それぞれが理解する“やる気”が、ちょっとずつ違うのですね。だからミスコミュニケーションが起きるのです。

多くのコミュニケーションでは誤解が起こっている

 “コミュニケーション”という言葉も同じです。「部内のコミュニケーションをとれ」と指示したAさんは、部下を今まで以上に指導して、業績を上げろと言っているつもりなのに、言われたBさんは飲み会や雑談することを増やしました。Aさんが言っているコミュケーションと、Bさんがいっているコミュニケーションは違っていたのです。“モチベーション”や“リーダーシップ”という言葉もそうですね。「リーダーシップを発揮しろ」といっても、Aさんが言っているリーダーシップとBさんが言っているリーダーシップは違います。上司と部下の間でも誤解が起こるし、お客さんとの間でも同様で、多くの場合にこういう誤解が生じます。

 例えば「あいつ遊んでる」という言葉を聞いて、どんな風にイメージしますか? ある人は「仕事をしないでどこかでサボっている」とイメージし、またある人は「夜、飲みに行っているような人」をイメージするかもしれません。「女の人と遊んでばかりいる」ようなイメージを持つ人もいれば、“あいつ”という言葉を子供としてとらえ「滑り台で遊んでいる」ようなことをイメージする人もいるでしょう。つまり“遊んでる”という表現1つを取っても、その人が何をもってそう言っているかはそれぞれ違うのです。

話し手に好奇心を持つことが大事

 コミュニケーションの誤解を減らすためには、聞き手が話し手に好奇心を持つことです。「やる気を出せ」と言われたら、自分の“やる気”の体験を振り返る前に、「やる気とおっしゃいましたけれど、具体的に私のどういうところにやる気が足りないですか?」とか「どのへんをもう少し改善すれば、やる気があるといえますか?」と聞いてください。

 すると上司は「そんなのやる気だよ、分かるだろ」と言うでしょう。そう言われても「でも、ぜひ良くしたいと思っているので、よかったら教えてください」と好奇心を持って聞いてください。そうしたら上司は「まず声を大きくすることだな。返事だよ」とか「元気な挨拶だよ」と言ってくれるでしょう。そうしたら、「あ、返事をはっきりして挨拶の声を大きくすればいいんだな」と分かります。さらに「お客さんが来たら、もっとニコッと笑って、ダラダラ行くのではなくてサっと対応すること」と言われれば、「なるほど、返事や挨拶を大きくして、お客さんが来たらサっと行くことなんですね」と確認できます。「そうだよ。それがあればやる気あるように見えるよ」と上司が言って初めて、どういうアクションを起こせば、やる気があるということを満たすことができるかが、部下にも明確になります。

 多くの人は、伝わった気、分かった気になっているだけなのです。相手が何をもってその言葉を使っているのか、話し手のほうに好奇心を持って聞いてみてください。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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