第4回 最も重要な伝票入力を比較してみたパソコン好きが青色申告を体験してみると?(3/6 ページ)

» 2008年02月18日 12時00分 公開
[奥川浩彦,ITmedia]

伝票入力──やよいの青色申告08(弥生)

 最初は経費の入力を行ってみたい。事例として事務用品、本、タクシー代の入力を、初心者用に用意された「簡単取引入力」を使って入力してみよう。初期設定で15ページのウィザードを入力した成果をここで実感できる。

 「やよいの青色申告08」にはいくつか入力方法がある。簡単取引入力では、条件に合わせて初期設定でチェックマークを付けた項目が表示される。選択して日付と金額を入力すれば、勘定科目や仕訳が分からない人でも簡単に入力できる。

 [現金取引]−[経費支払]−[事務用品]と選択し、日付と金額を入力して[登録]を押す。[入力確認]をクリックすると仕訳日記帳が開き、入力結果が確認できる。借方に消耗品、貸方に現金と仕訳されていることが分かる。同様に書籍代を入力すると借方に雑費、貸方に現金、タクシー代を入力すると借方に旅費交通費、貸方に現金と自動的に仕訳される。

「やよいの青色申告08」の取引メニュー画面。簡単取引入力と仕訳アドバイザーや初心者に便利。[現金取引]−[経費支払]−[事務用品(文房具等)の購入]を選択して日付、金額を入力するだけ

借方に消耗品費、貸方に現金と自動的に仕訳される。雑誌の場合は[経費支払]−[書籍代]を選択する。

借方の「雑費」に仕訳。「へぇ〜雑誌の勘定科目は雑費なんだ」と思う。タクシー代は取引名の選択肢にその通り表示。

他社にはない細かな選択肢が特徴。ちなみにタクシー代は旅費交通費として借方に仕訳された

 経理に慣れた方は振替伝票による入力方法を使うらしい。次は振替伝票で入力してみよう。今度は水道光熱費の電気代で試してみたい。貸方勘定科目のプルダウンメニューから[水道光熱費]を選択する。初期設定で登録した補助科目から[電気代]を選択する。貸方勘定科目のプルダウンメニューから[現金]を選択。銀行から引き落としされる場合はここが[普通預金]となる。金額を入力すれば完成だ。

振替伝票での入力[借方勘定科目]のプルダウンメニューから[水道光熱費]を選び(左)、[補助科目]で[電気代]を選択する(中央)。(右)借方は[現金]を選択引き落としの場合は[普通預金]となる

金額を入力して完成。仕訳日記帳で見ると[振伝]と表示され振替伝票で入力したことが確認できる

 筆者は昨年の確定申告を終えて、「今年は3カ月ごとに入力をしよう」と思ったが、実際にたまりにたまった領収書に手を付けたのは7月だった。半年分の領収書をテーブルいっぱいに広げ、ガソリン代、電気代、飲食費……と封筒に分けた。それを同じ科目ごとに一気に入力することになる。

 1枚目の領収書を「簡単取引入力」で記入して、後は行をコピーして日付と金額を書き換える方式をとった。ズボラな性格の人にはこの方が効率がいいだろう。そこで次は仕訳された伝票をコピーして入力してみたい。


 先ほど入力したパソコン誌の伝票をコピーして日付と金額を書き換えてみたい。伝票を選択して編集のプルダウンメニューから[行コピー]を選択する。続いて[行貼り付け([Ctrl]+[Y])]を繰り返し、数行まとめて貼り付ける。後は日付と金額を書き換えれば完成だ。科目は人それぞれだが、ガソリン代など何枚も同じ領収書を処理するときはこの方法が効率的だ。経費に関してはひたすらこの作業を繰り返せば入力は完了する。

(左)[編集]のプルダウンメニューで[行コピー]を選択右クリックでも可能。(右)[行貼り付け]で何行もコピーすると効率アップ。実際には[Ctrl]+[Y]を連打する

雑誌の購入を一気にコピー。日付と金額をまとめて修正した方がズボラ者には楽

 次は売上と回収の入力をしてみたい。事例は下記のものだ。

  • ABC出版に1月末に原稿料10万円を請求し、2月末にその売掛金が普通預金に振り込まれた
  • ただし源泉徴収1万円と振込手数料315円が引かれた8万9685円が実際に入金された金額

 「簡単取引入力」で[売掛取引]をクリックすると、プルダウンメニューに初期設定で登録した得意先が表示されるので[ABC出版]を選択する。[売上・回収]−[掛けで商品を販売した]を選択し、日付と金額を入力する。仕訳日記帳で確認すると借方が売掛金、補助科目がABC出版、貸方が売上高と自動的に仕訳される。

 回収は同様に[売掛取引]から[ABC出版]を選択し、[売上・回収]−[売掛金が普通預金に振り込まれた]を選択。取引対象に表示される[アイティー銀行]を選択し日付と金額(89,685円)を入力する。この段階では源泉徴収と振込手数料の1万315円の差異がある。さてどう処理するか。徐々に難易度が上がってきた。

売上の入力は、[売掛取引]のプルダウンメニューから得意先(ABC出版)を選択(左)。[売上・回収]−[掛けで商品を販売した]を選択し、日付と金額、摘要を入力(中央)。一番上に借方が売掛金(ABC出版)、貸方が売上高と登録された(右)

,,回収は[売上・回収]−[売掛金が普通預金に振込まれた]−[アイティー銀行]を選択し日付と金額、摘要を入力(左)。借方の勘定科目に普通預金、補助科目にアイティー銀行、貸方の勘定科目に売掛金、補助科目にABC出版と自動的に仕訳された(右)

 「やよいの青色申告08」には「仕訳アドバイザー」という機能がある。検索ワードに「源泉徴収」と入れて検索ボタンをクリックすると似たような事例が表示される。これをまねして入力すればいい。支払手数料で検索しても今回と同じ仕訳例が表示される。初心者には役立つ機能なので迷ったときは使ってみよう。

 仕訳アドバイザーを参考に、同じ日付で源泉徴収と振込手数料を入力する。プルダウンメニューから借方に[事業主貸]、補助科目に[源泉徴収]とし金額は1万円、借方に[売掛金]、補助科目に[ABC出版]を選択する。同様に借方に[支払手数料]を選択し315円、貸方は源泉徴収の場合と同じように入力する。

 取引メニューの[売掛帳]をクリックし、補助科目の[ABC出版]を選択すると、ABC出版に関する売掛の伝票が表示される。これで売上金額と回収金額がバランスしたことが確認できる。基本的には得意先ごとに毎月この作業をすれば売上と回収の入力は完成だ。

仕訳アドバイザーで源泉徴収を検索すると、ぴったりの仕訳例を表示。仕訳アドバイザーの通り、借方に事業主貸、補助科目に源泉徴収、貸方に売掛金と入力。

支払手数料で検索すると、これもぴったりの仕訳例が表示された。仕訳アドバイザーの通り、借方に支払手数料と入力。売掛帳を開いてみると、売上と回収の金額が一致していることが確認できる

 いろいろ書籍を読んでみると、さらにこの回収の入力を振替伝票で行う複合仕訳なるテクニックがある。結果は同じなので筆者は「どっちでもいいじゃん」と思っているが、一応やり方を紹介しよう。

 8万9685円の入金を記録した伝票を右クリックし、[振替伝票に変換]を選択すると、画面が振替伝票に切り替わる。ここで源泉徴収と振込手数料を同様に記入し、貸方金額を10万円に訂正する。これで一番下の貸借バランスが0円となる。先ほどの売掛帳のABC出版を見ると売上と回収の伝票の金額が一致しスマートに入力されている。確かにカッコいいが内容は同じだからどちらでもいいだろう。

複合仕訳をするには右クリックして[振替伝票に変換]を選択。振替伝票の画面に自動的に移動し、源泉徴収と支払手数料を入力

貸方金額を売上と同じ10万円に訂正。売掛帳を開くと売上と回収が1行ずつになりスッキリ

 仕入れのない業種であれば、大半は経費、売上、回収の入力となる。この作業をひたすら繰り返せば申告の9割方の作業は終わったといえるだろう。

消費税8%時代の確定申告

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