第10回 財務諸表の意味を身体感覚で理解する(後編)新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(5/5 ページ)

» 2008年05月19日 15時04分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]
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身体感覚は自分でつかむほかはない

 そしてこの「身体感覚で理解する」という感覚は、誰かが教えてくれるものではありません。自分でつかむほかはないのです。教師はその邪魔をしないことはできますし、ある程度のおぜん立てもできますが、基本的には教えられません。

 特に、集合教育の場ではおぜん立てもなかなか難しいと思われます。というのは、一見するとこの

  • イメージを伴う繰り返し試行

 は効率が悪いからです。何度も何度も同じことをやって同じ結果が出ているように見えるのでは、なんて無駄なことに授業時間を使っているのかと、そんなふうに見えて当然です。そのため、集合教育の場でこのような「指導」を期待するのは、寿司屋にフランス料理を期待するようなものでしょう。

 だから、自分で問題意識を持ち、考察をしてみることです。その努力は一見無駄なものに見えるかもしれませんが、決してそんなことはないのです。レールの引かれた上を脇目もふらず突っ走るのではなく、自分自身で地面を手探りしながら地形を確かめて行くような、そんな勉強法もしてみましょう。理解を身体感覚にまで刻み込むためには、道草をすることが欠かせないのです。

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『図解 大人の「説明力!」』


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