第10回 財務諸表の意味を身体感覚で理解する(後編)新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(4/5 ページ)

» 2008年05月19日 15時04分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

身体感覚で理解するまで追及の手を緩めるな!

 「身体感覚」ということを私は前回の記事から何度も書いてきましたが、実はこれほど説明しにくい感覚もありません。

  • 論理的な概念についても身体感覚が働くようになる

 ということも前回述べましたが、もう一度強調しておきたいと思います。何らかの概念、分野を深く勉強すると、その理解は論理的というよりも身体感覚にまで到達するようになります。そうなると、「考えて分かる」というよりも、例えば○と△がピッタリ重ならないことがひと目で分かるように、「結論がひと目で見えるのでそれを後追いで論理的に検証する」という考え方になってきます。

 この感覚をつかむためには、前回記事で書きましたが、

  • イメージを伴う繰り返し試行

 をしなければなりません。

  • Aという条件のときはBになる

 という1行を勉強したら、それで終わらせるのではなく、

  • A'のときは……
  • A''のときは……
  • A'''のときは……

 と、少しずつ条件を変えて何種類もやってみるわけです。実はこういうことをしていると10回のうち9回以上は

  • 同じくBだった
  • やっぱりBだった
  • またまたBだった

 と、とりたてて新たな発見もなく空振りに終わりますが、それはそれでいいのです。「やっぱりBになる」と自分で確かめたこと自体が大いに勉強になりますし、たまに

  • なんと! Cになった!!

 という事態に遭遇すると、そこから「なぜそんな違いが生まれたのか?」という考察のきっかけがつかめるので、「AのときはBになる」という与えられた知識を単に覚えるのとはまったく比べものにならない、深い理解が得られるようになります。こうしたイメージを伴う繰り返し試行が重要なのです。

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