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» 2012年11月28日 09時00分 UPDATE

田中淳子のあっぱれ上司!:部下の“やる気”を削いでいるのは、誰か (1/3)

上司があまりに「上司然」としていて、会社で動いていることを部下に全く開示しないケースがある。もちろん最大級の機密であれば仕方ないが、そうでもないような内容で、部下にも関係あることをちっとも話さないのはどうなのか。

[田中淳子,Business Media 誠]

編集部からお知らせ

 ITmedia エグゼクティブでの人気連載「田中淳子のあっぱれ上司!」が誠 Biz.IDにて再開します。悩める上司と部下の付き合い方を、企業の人材育成に携わって27年(!)の田中淳子さんが優しくにこやかに指南するこの連載、部下とのコミュニケーションに悩んでいる上司はもちろん、そうでない上司も必見です!


 上司があまりに「上司然」としていて、完全に秘密主義で、管理職同士で協議していることや動いていることを部下には全く開示しないというケースがある。もちろん最大級の機密であれば仕方ないが、そうでもないような内容で、部下にも関係あることをちっとも話さないというのはどうなのだろう。

 例えば、自分で全部お膳立てして完全な状態になるまで部下に仕事を渡さない上司がいる。自分ですべて把握しないと気が済まないという性分によるものとは思うが、かといって、実行する段階では多くの部下が動かざるを得ない。「こういうことをすることに決まったので、動いてほしい。納期はいついつ」と急に言われて部下はびっくりしてしまう。部下としては「私たちだって中堅、ベテランなのだから『こういうことを動かす可能性がある』とか『こんな方向で進む可能性がある』と言っておいてくれたら、前もって準備することもできるのに、上司からの指示が急すぎて、いつも慌てふためく事態になる」と感じる。「大枠だけ決めて、実行部分は現場を分かっている私たちに任せてくれてもいいのに、信用されていないのかな」と不満に思うこともある。

 部下をもっと信頼して、早めに情報を出し、相談していけばよいと思うのだが、なかなかできないタイプの人なのだろう。

部下は成長し、自立している

 以前、こういうリーダーがいた。

 「自分はリーダーとして、上司から降りてくる大きな仕事のかたまりを自分の責任でメンバーごとに小分けにし、そこからメンバー1人ひとりに、あなたはこれ、あなたはこれ、と割り当てていました。これがとても手間がかかり、しかも1人ずつに説明し、納得させるのも難しいと感じていたんです」

 彼は、リーダーである自分がメンバー1人ひとりの適性やスケジュールも把握し、何もかも自分で采配を振るう必要があると感じていたそうだ。しかし実際には、とても時間がかかり、負担にも感じていた。

 「ある時、上司から降りてきた大きな塊の仕事をまったく分解しないまま、メンバーを集めてみました。そして、思い切ってこう言ってみました。『この規模の仕事が来ているので、全員で割り振りたい。どうしたらいいかな』と。こんな風に丸ごとを見せた状態でメンバーに相談したのは初めてだったので、どうなることかと思っていました。メンバーの1人が、『あのお、この部分は私の得意分野なので、私が担当してもいいですか?』と言ってくれました」

 その発言がきっかけとなり、他のメンバーも「じゃあ、ここは私が」「この部分は、こちらとセットで○○さんとボクとで片づけたら効率いいと思う」などと考えを述べてくれ、あっという間に全員で割り振る算段が付いたそうだ。しかも、メンバー自身が割り振ったやり方は、リーダーが思いつけない分担で、効率もよさそうだったという。さらに、リーダーが割り振りを決めてからメンバーに与える方法よりも、担当を決めるところから関わったメンバーは「やらされる」という感覚がなくなり、前向きにその仕事に取り組んでくれた。

 後日このリーダーはこう話していた。

 「リーダーとして肩に力を入れすぎていたかもしれません。自分が全部細かく決めないとメンバーは動けないとも思いこんでいました。でも今回のことを通じて、私が思っていた以上に、メンバーは成長していました。もっと頼ってよかったんだなあと反省もしまし。」

 部下は上司が思っている以上に成長し、自立しているものなのかもしれない。頼らないから「頼りがいがない」と勝手に思い込んでいる可能性もある。

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