インタビュー
» 2013年03月11日 13時30分 UPDATE

ポリコムのモバイルワーク事例:モバイルワークを全社導入して2年で分かった、成功するために必要なこと (1/2)

ビデオ会議システムなどを提供するポリコムでは、震災後すぐにモバイルワークを全社員に徹底した。現在も多くの社員が週に1回以上はモバイルワークを実施しているといい、新しい働き方に取り組んでいる。

[上口翔子,Business Media 誠]

 事業継続性の観点から、ここ数年で社員の働き方を見直している企業は多い。そのきっかけが、2011年3月11日に発生した東日本大震災だった。被災地の東北地方はもちろん、都心部では帰宅困難者が大量発生し、その後も交通事情や計画停電の実施などから出社困難を余儀なくされた社員が少なくなかった。

 当時、企業側が社員に対して取った策の1つが「在宅勤務制度の導入」、いわゆるモバイルワークができる環境を整えること。今回紹介するポリコムジャパン(以下、ポリコム)も震災発生後の翌営業日から、全社員がモバイルワークを実施。現在でも、多くの社員が週に1回以上はモバイルワークを行っている。

 なぜ、震災後すぐにモバイルワークを徹底できたのか。なぜ、現在も継続してモバイルワークを実施しているのか。その中で見えてきた課題や解決策などを踏まえて聞いた。

ある意味“無理やり”全員がモバイルワークに

 ポリコムは、企業や行政、教育機関などに向けて、音声やビデオ会議、テレプレゼンス製品などを提供する企業だ(関連記事:テレプレゼンスを体験、65インチ液晶3枚よりリアル音声マイクに驚く)。米国に本社を置き、日本(ポリコムジャパン)では営業やマーケティング、サポート部隊を中心に活動している。

 東日本大震災当時は100人弱のスタッフが東京オフィスに在籍。当日はどうしても帰宅できない社員のみが近くのホテルに宿泊し、それ以外の社員は原則帰宅とした。

 米国本社からは原発事故の問題などもあり「東京オフィスを一時閉鎖し、原則、全社員自宅勤務をすること」との指令が下ったという。そこで翌日以降からは全社員を対象にモバイルワークに切り替えた。

 それまで、全社員がモバイルワークを一斉に実施したことのなかったポリコムが迅速にこの体制を整えられた理由は2つある。まずモバイルワークが実施できる環境自体を、震災前から全社員が持っていたこと。そして米国本社がトップダウンで指示したことだ。

shk_poly01.jpg ポリコムジャパンのマーケティング部 マーケティングコミュニケーションスペシャリスト 石原聖子さん

 マーケティング部コミュニケーションスペシャリストの石原聖子さんは社員側からの意見として「確かにモバイルワークができる環境自体は与えられていたが、実はほとんど活用したことがない社員も多く、最初は戸惑った。しかし出社ができないのだから家でやるしかない、ある意味強制でモバイルワークに踏み切ったことが功を奏したのだと思う」と振り返る。

 「震災前まで、頭のどこかで会社員は会社にいてなんぼで、会社にいるから仕事ができていると思っている部分があった。それが当時モバイルワークをしてみたら、日ごろからビデオ会議を使っていたことも幸いし、実際に多くの社員が『あれ、意外と家にいてもスムーズに仕事ができる』と思った。その意識の変化も大きかった」(石原さん)

全社員モバイルワークになるまで

 モバイルワーク環境が整っていても、ほとんど使ったことがない。そうした社員に対してはどのようなレクチャーをしたのか。

 ポリコムでは同社のビデオ会議システムやマイクロソフトのインスタントメッセンジャーを使って、モバイルワークに不慣れな社員に遠隔でトレーニングを行った。場合によっては携帯電話で連絡を取り合うなどして対応に当たった。

 日々の勤怠管理や情報共有については、震災後に立ち上げた危機管理委員会を中心にガイドラインを策定。委員会のメンバーと各部門のマネジャーで毎朝ビデオ会議を行い、報告と今後の方針を話し合った。東北の顧客向けに実施した救済プログラムについても、その会議の場で決定していったという。

 顧客や代理店などの外部向けには、「全社員がモバイルワークをしている」ことを伝え、電話対応もオフィスに来た着信を社員の携帯電話やPC上のソフトウェアに転送して対応できる体制を取った。

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