話しかけるベストタイミングは――机を見れば分かる机を基地化せよ(2/5 ページ)

» 2013年05月09日 17時00分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]

机が汚い「ナダレ」へのパス! 目立つファイルとメモの直貼り&手渡し

 仕事の処理能力はあっても机の整理能力のないナダレと一緒に仕事をする場合、もっとも恐れなければならないのは、紙の資料や伝言を貼り付けたメモ、請求書や伝票などを紛失されてしまうことです。

 正確には捨ててはいないわけですから消失したわけではありませんが、目の前から見えなくなってしまえば、「そのタスクを処理しなければならない」こと自体を思い出せなくなってしまうリスクがあります。

 しかし、根本的な対策として整理整頓をお願いすることは無理があります。ナダレのように、整理整頓に価値を感じていない人をいくら説得したところで、響くものはありません。ということは、最低限自分が関係している仕事だけでも、安全性を確保するよう心掛けるしかありません。

 資料の実物を渡すときには、必ず直接手渡すこと。そしてナダレが普段使わないような目立つファイルに入れて渡すことです。彼のテンションが上がるようなキャラクターのファイルを使えばなおいいでしょう。すぐに中身を出して、確認、処理という流れに持っていけるはずです。横に重ねさせずに処理させることが大切です。

 それでも不安ですから、大切な資料を手渡す前には必ずコピーをとって、自分でも保管しておけば、最悪の事故は避けられます。

 電話のメモや伝言、請求書や伝票などを不在時に渡すときには、いや味かどうかなど考えず、モニターやキーボード、電話機などにガチガチに直貼りしてしまうことです。可能であれば、直接声をかけて念を押します。

 メールでの伝達は、あまりおすすめしません。この種の人は、他人から入力されたタスクを処理しよう気持ちが希薄であるケースが考えられますから、直接依頼したほうが自分のためです。

 とりわけ絶対外せない重要案件の場合、最上級の対応を面倒くさがらずに徹底することが大切です。面と向かって、口頭でポイントを確認しながら、コンセンサスがとれた内容を自分でメモ帳に記入していきます。締め切りも書き込みます。

 確認が終わったら、すぐそのメモを相手に手渡して内容を確定させるのです。少し当たり方が厳しいように見えるかもしれませんが、ここぞという局面では実践しておいて損はありません。

付せんベタベタの「アカハナ」へのパス! タイトルを工夫したメールで主張

 アカハナは付せんにタスクを書いている割に、ちっとも処理が追い付いていないため、モニターの周りが付せんで運動会の万国旗のような状態になっています。こうした相手に対し、いくら重要な用事だからといってさらに付せんを貼り付けてしまうと埋もれさせてしまうだけでなく、相手が不快に思うはずです。ただでさえ渋滞しているのに、さらに車に割り込まれるのですから。

 従って連絡手段の第一選択はメールになります。しかし、メールには物体としての形がありません。忙しい相手ほど、目に留まらないタイトルのメールを開くのは後回しにします。メールのタイトル付けは、かなり大切なスキルになるのです。これができないと、いつまでもリアクションがないため催促する羽目になり、自分の仕事もどんどん効率が落ちていきます。悪いタイトル付けのケースを見ていきましょう。

 キャリアの浅い人や、スキルやセンスの面で不安がある人に多いのが、送信者の姓をわざわざタイトルに入れている場合です。「山岡です」とわざわざタイトルで宣言されても、メーラーではそのすぐ横にアドレスと送信者名が表示されていることが大半ですから、結局繰り返しているだけで何の意味もありません。

 社内メールにありがちな「お疲れさまです」「お手数ですが」などというタイトルも感心しません。あいさつは大切ですが、そのメールの内容や重要度が一切表現できていないからです。

 かといって「緊急です!」とか、「至急ご確認ください」といった、送信者の価値判断をあからさまに相手に押し付けるタイトルも避けるべきです。最初のうちはだまされてくれるかもしれませんが、やがて送り手の「至急」が自分にとって至急でも何でもないことが分かってしまうと、「使えない人間」というラベルを貼られ、相手にされなくなります。また、「締め切りの件」「本日の件」といった、本文を読まなければ中身がほとんど理解できないタイトルもよくありません。

 メールで相手に連絡するときの基本は、究極的には本文を読まずに内容が把握できるタイトルを付けることです。

 メールをやりとりする以上、送り手と受け手の間には既に何らかの関係性があり、現在取り組んでいたり、話題になっていたりするトピックやテーマがあります。それが1つだけであれば、新たなステップに進んだり、問題が発生したりといった状況の変化だけが対象になるわけです。

 送信者名は、タイトルの横に表示されています。アカハナがメールを受け取るとき、送信者が「依存ちゃん」こと山岡さんであれば、いかにアカハナがITオンチでも、ほとんどのケースで、何の用事でメールを送ってきたのかはタイトルを読まずとも限定されます。従って送り手は、その中でさらに絞り込んだタイトル付けをしてあげればよいのです。

 「16日いっぱい締め切りでお願いします」

 「見積もりは26日着です」

 「7日14時A社訪問リスケの件」

 「15時33分B社S氏が来社されました」

 「商品サンプルは25日にあがります」

 といったタイトル付けが大切です。この考え方は、ブログやメルマガの記事にタイトルを付ける場合にも応用できます。

 受け手が多忙な人ほど、時系列と内容をシンプルにタイトルに混ぜ込める相手は優秀に映ります。読む必要のないメールマガジンまでがメーラーを侵食してくる時代ですから、メールのタイトル付けは、相手に読んでもらう権利を勝ちとるための手段なのです。

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