連載
» 2013年03月14日 16時10分 公開

机を基地化せよ:机が荒れるのは、仕事をしている証拠!? (1/2)

机は人柄を表します。では机を基地化すれば、どんな仕事ができ、また職場のさまざまな妨害から身を守れるようになるのでしょうか?

[美崎栄一郎,Business Media 誠]

集中連載「仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ」について

 本連載は2013年2月23日に発売した『仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ』(アスコム刊)から一部抜粋しています。

 多くの「片付け本」や「整理整頓本」にイマイチ感情移入できないのは、職場のリアルな人間関係を無視して「捨てる」という安易なメッセージに終始するためです。

 突然「例の資料出して!」と指示するキマグレ上司。資料を山のように積んで、

隣に侵食するナダレ男。何でも聞いてくる依存系部下。

 気が付けばペンを持っていってしまうコソドロ。本書は、そんな人間関係から身を守り、自分のパフォーマンスを最大限に引き出す「机の秘密基地化」についてお話ししていきます。


 オフィスで働いている人の多くは、常に何かを探しています。電話がかかってきたときにメモやペンが見当たらない、1カ月前の会議のポイントを書いたはずのノートが見当たらない、受け取ったはずの請求書はどこに行ってしまったのか……。

オフィスでは「年に4000時間」が失われている!?

 仮に、1人が1日10分間何かを探していたとします。年間の出勤日数を240日とすると、2400分=40時間を失っている計算。8時間勤務で換算すれば5日分、つまり1週間丸ごとです。お盆休み中ずっと何かを探しているのと、計算上は変わらないのです。

 100人のオフィスでは、実に4000時間が失われている計算になります。たかが5分、ほんの10分じゃないか、と思わないでほしいのです。

 では早速、机をきれいにするノウハウとテクニックを伝授してほしい。何かいい考え方や便利な道具があるんでしょう? もったいぶるわけではないのですが、その前に、次のテーマについて考えてみてほしいのです。

 それは、机をきれいにすることの理由です。

机を整理するために会社に行くのではない

 例えばオフィスでこんなシーンはなかったでしょうか。課長に探すよう頼まれた資料は、右側に置いていたつもりなのに実際は左側にありました。最初は右側に重ねていたのに、何かのきっかけで意識せずに左側に移してしまったのかもしれません。

 従って、資料は右に置くと決めておいた方がいい。その方が効率的だ。結論としてはそうなるのですが、これを単なる効率の問題としてとらえないでほしいのです。

 大手自動車メーカーの工場を見学に行ったときのことです。製造ラインには次々と車が流れてきて、しかも車種は常に同じではありません。そんな工場の中で働いている人たちは使用する工具をどう使い、どこにしまうかを細かく決められていました。右側のどこに左側のどこに何を置くかは、あくまで経営学的な視点や先輩社員たちの長年の経験に基づくフィードバックによって会社が決めるものであって、個人の自由にはなりません。

 自動車会社が工具の位置にこだわる理由は、大きく分けて2つあります。まずは効率をよくし、生産性を上げるためです。ある工具の置き方を改善することで、0.5秒仕上げが早くなる。工場の生産性追求は、こうしたことの積み重ねなのです。

 もう1つは、安全性のためです。事故に遭遇しにくく、より安全を確認しやすいように配置を考える。だからこそ従業員の好きなようにはなりません。

 自分はメーカー勤務ではない、あるいはオフィス勤務だから関係がない、というのは早計です。

用途によって自然と場所が決まる

 例えば左ハンドルの自動車に慣れていない人が乗ったとき、ついいつものクセでシフトレバー(セレクトレバー)やエアコンのスイッチを左手で探し、ウインカーを出すときにはハンドルの右側をまさぐってしまいます。

 右ハンドルの車と左ハンドルの車では、あるいは日本車と外国車ではなぜ機器の位置が違うのかには、やはり理由があります。通行区分の違いからくる安全性が最上位にあって、操作性や快適性が続いています。つまり、右か左かは自動車メーカーあるいはさらに上位の規格や法令が決めているもので、決してドライバーの自由にはなりません。

 レストランでコース料理を食べるときの、カトラリーが置かれる位置も同じことです。右手で左手で、どの順番で何を使うかが決まっているからこそ、自ずとカトラリーの配置も決まってきます。

ただ整理整頓を心掛ければよいのではない

 しかしオフィスでは、工場のように何をどこに置くかを細かくは指示されません。だからといって、それが事務職の人間の特権だと考えるのは大きな誤りです。どんな仕事であろうと、効率よく同じことを時間をかけずに、そしてアイデアが湧いてくるようにやるべきだし、その方が楽しくて自分の価値を高めます。たまたま会社がそこに細かく関与していないだけであって、本来、あなた自身が生産性を高めるために明確に決めなければならないのです。

 ただ清潔にするとか、整理整頓を心掛けることが大切なのではありません。

 もちろんきれいな方がいいのですが、僕たちは決して机を片付け、整理整頓するために毎日オフィスに通っているわけではありません。

 アイデアを生み出し、効率よく仕事をこなしていく。結果として誰も思い付かないような「すごい仕事」を量産する。オフィスや机は、本来そのための場所であるはずなのです。

 工場を清潔に保つことを最優先するのであれば、変な話、何も生産せずに、毎日掃除ばかりしていればいいことになります。そんなバカな! ですよね。だからこの本は、机がきれいな人、整理整頓ばかりしている人をほめるわけでもありません。

 目指すのは、机の「秘密基地化」です。机は会社においてあなたが価値を生み出す足掛かりであると同時に、それを阻むものから自分の身を守る盾でもあります。

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