職場のみんながあなたの机を見ている机を基地化せよ(1/3 ページ)

意図的かそうでないかにかかわらず、誰でも人の机の様子を見てしまうもの。いつでも離席できるように、最低限準備しておきたい3つのことを紹介します。

» 2013年04月18日 10時00分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]

集中連載「仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ」について

 本連載は2013年2月23日に発売した『仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ』(アスコム刊)から一部抜粋しています。

 多くの「片付け本」や「整理整頓本」にイマイチ感情移入できないのは、職場のリアルな人間関係を無視して「捨てる」という安易なメッセージに終始するためです。

 突然「例の資料出して!」と指示するキマグレ上司。資料を山のように積んで、

隣に侵食するナダレ男。何でも聞いてくる依存系部下。

 気が付けばペンを持っていってしまうコソドロ。本書は、そんな人間関係から身を守り、自分のパフォーマンスを最大限に引き出す「机の秘密基地化」についてお話ししていきます。


 机の基地化は、職場の人間関係を考慮してこそできること。ここでは具体的な人間関係のモデルを設定し、架空の登場人物を使います。舞台は、月光堂株式会社。約3万人の従業員を擁する大手日用品メーカーの本社オフィスです。

登場人物の紹介

(1)三崎:主人公。32歳男性、独身。大学院修士課程を修了後、月光堂に入社。本社での研修を終えたあとは、地方の研究所から地方の工場の品質管理部門に転じ、商品開発と品質管理の最前線で働く。念願かなって本社の開発3課に異動となったが……。

(2)赤松課長(通称・アカハナ):開発3課長で三崎の直属の上司。43歳男性。一応既婚、子持ちらしい。なぜか鼻の頭がいつも赤い。開発の手腕というよりはゴマスリと世渡りのうまさでポストを獲得。ムチャ振りが多く部下からの人望はもう1つ。健康サンダルを愛用。ITリテラシーが低い。

(3)高杉(通称・出木杉):三崎と同期入社で同じく32歳。男性。未婚で修士卒。知識、能力だけでなく仕事ぶりもピカ一で、早くも世間が注目するヒット商品を生み出し、出世街道を猛進中。彼の机が価値を作り出す場所として巧みに設計されていることを知る人は少ない。

(4)大森(通称・ナダレ):36歳男性。開発3課主任。研究者としては独創的との評価がある一方で、机の上を整理する概念がなく、表面は常に見えない。斜めに置かれたキーボードを打てるのが特技。山のように積み重ねた資料や本が隣席を侵食し、ときには雪崩となって襲いかかる。

(5)石川(通称・コソドロ):年齢不詳の男性。40代らしい。主任。マッドサイエンティスト的な雰囲気をまとっている。常に人の机からペンやハサミなどの文房具を失敬するクセがある。

(6)山岡(通称・依存ちゃん):27歳女性、独身。入社3年目。仕事はソコソコこなすが、期待以上の成果を挙げたり自ら新しい課題に取り組んだりする意欲は乏しく、アシスタントから脱皮できない。調べれば済みそうなことをすぐ人に聞く。雑談とコンサバ系ファッションが大好き。残業は大嫌い。

(7)新田(通称・新人):24歳男性、独身。大学院を出て研修を終えたばかりの新入社員。まだ修業中で仕事はなく、アシスタントをしながら勉強中。仕事が少ないので、机はきれい。

(8)中沢課長(通称・ボス):開発2課長。42歳女性、独身。数々のヒットを飛ばすトイレタリー部門のエースで、業界で知らない人間はいない。月光堂初の女性プロパー役員も夢ではないとのうわさ。アカハナと同期。大器かつ美人で男女関係なく慕われているが、私生活は謎に包まれている。


アカハナに突然呼ばれて……

 「三崎くん、ちょっと来てくれるか?」

 (出た! アカハナの「ちょっと」攻撃……)

 三崎がうんざりしてしまうのには理由があった。アカハナは、「ちょっと来てくれるか?」と声をかけて打ち合わせのような場を作る割に大した話題もなく、自慢のような説教のような、どうでもいい長話を一方的にする時間を好む傾向がある。そして面白そうに聞いていないと、たちまち不機嫌になってしまうのだ。

 これには課員の多くが閉口し、面倒くさがっている。そこで、まだ免疫の少ない三崎が格好の餌食になっている。

 しかも今回は、呼ばれたはずなのにアカハナに電話がかかってきて待たされるという最悪のパターンだ。では三崎が自分の席に戻っていいかというと、アカハナは「別命あるまで動いてはならん!」とでも言いたげな視線を投げてくる。仕方がないので、あきらめてアカハナを待ち続けた。

 「いやー悪い悪い、待たせちゃったね」

 5分後、アカハナが打ち合わせコーナーにやってきた。話題は、おそらく着任以来5回は聞かされている、7年前の商品開発秘話だった。

 (要するに、これってロイヤリティーを試されているだけなんだな)

 三崎はメモをとるふりをしながら、こっそりアカハナの似顔絵を描き始めた。

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