フリーランスでどんな人生を送りたいのかフリーランスを目指す前に(2/2 ページ)

» 2013年05月23日 10時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

副業を始めた

 転職すると、私の出勤時間は11時が平均になった。帰宅は19時ごろだろうか。ほとんど残業などしない。時間にゆとりが生まれたことで、帰ってから子ども達と遊ぶ時間も増えた。そして朝の時間がもったいなくなり、副業を始めることにした。幸いにも会社が副業を許可していたので、このことは一切問題ない。

 もともと学生のころからフリーライターをしていたので、その延長というか、もう少し本格化させた活動になった。前職の経験を生かして資料作成や営業の代行もしてみた。11時出社なら、1、2件のアポイントを終えてからでも間に合う。次第に楽しくなり、独立という言葉が頭の片隅で生まれ始めた(実際には、すぐ独立できるレベルではなかったのだが……)。

 転職して4カ月で、転機が訪れる。ある知人から、法人設立を手伝って欲しいと声を掛けられたのだ。

 自動車関連の事業であまり興味のわかないところではあったが、設立手続きそのものには興味があった。ある程度の時間もあった為、私はその要請を受け入れたのだった。設立前の書類準備や申請を終え、法人を設立すると共に私は取締役に就任。これが、私の独立するキッカケである。

 法人の立ち上げをサポートすると同時に、私自身が独立したことを想像していた。全ての責任が自分にあるという重圧と、その反面で得られる時間の自由。てんびんに掛けて考えたとき、私はすぐに後者の魅力にとらわれていたのだった。そして転職から5カ月で、私は会社を退職。クライアントも資金もないままに、半ば無謀な起業をすることとなった。

 将来に不安がないといえばウソになるが、実際に手に入れた今の生活は本当に充実している。ときには休みなく夜中まで仕事に追われるかもしれないが、それは自分の力不足に尽きる。それでも私は自宅の一室を事務所にしているため、仕事をしていても子どもたちの顔が見られる環境だ。時間を大切にしたいという人生の軸をもとに行動した結果であるから、今の働き方、あるいはそれまでの経緯は必然なのだと思う。

 今ではマラソンやトライアスロンという趣味も見つけ、さらに仕事にもやる気が出ている。トレーニングには、多くの時間が必要だ。だからこそ時間を作り出し、その時間を充実させるためにもっと働く。このバランスが難しいのだが、とても会社員では得られなかった生活だろう。「時間」を得たことで、心のゆとりにもつながっているのかもしれない。

 しかし例えば安定的な暮らしを望む人、あるいは一生仕事だけに打ち込んでいたいような人には、この生活は合わないだろう。あくまで私の働き方は、私のものである。平たんな道と砂浜、山道では進むために必要な靴が違うように、それぞれの人生プランに応じて選ぶべき働き方は異なる。

 フリーランスで働きたいと思うのが、ただのあこがれや今からの逃亡なら考え直した方が良いかもしれない。そのための指針は、やはり自分の人生プランにある。良く考えて、働き方を選んでほしい。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ