30〜50代に熱烈に支持されたややシニア寄り!? “電子ノート”新モデルの逆襲シャープ「電子ノート」開発秘話(1/3 ページ)

手書きにこだわったシャープの電子ノートに新モデル「WG-N20」が登場。期せずしてシニア層の掘り起こしに成功する結果となったこの製品は、どんな進化を遂げたのか。開発担当の西宮健司氏に聞いた。

» 2013年07月31日 14時45分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]

 シャープが7月25日に手書きデータを保存できる電子ノートの新モデル「WG-N20」を発表した。前モデルとの違い、改良ポイントについて、開発を担当したシャープ デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部システムソリューション開発部の西宮健司氏に話を聞いた。


ブラックモデルの「WG-N20-B」(左)、ホワイトモデルの「WG-N20-W」(右)

正常進化した2代目

  WG-N20は、先代モデルのシンプルな電子文具としての機能と使い勝手を踏襲しながら、ユーザーから得たさまざまな反響を参考に改良を施したという。主な改良点は以下の通りだ。

WG-N20の主な改良ポイント
改良ポイント 備考
記憶容量が従来モデルの2倍に相当する2000ページ分に 紙のノートよりメモや殴り書きなどが多いため、容量を増加した
好みのノートフォームを追加登録可能に PCから転送したフォームを本体内に保持して呼び出し可能にした
画面ロック機能を追加 4桁の番号で電子ノート自体にロックを掛けられる
JPG形式で画像書き出しが可能に 他機器との接続を想定しJPG形式に対応した
しおり機能を採用し、見たいページをすぐに開けるように 最後に使ったページではなく、マークしたページを開ける
新モデルでカラーバリエーションは2色になった。女性ユーザーを想定したホワイトはボディにきらきらした粒状の加工を施している。ブラックはカバー内側が赤

 初代モデルのWG-N10は、2012年12月18日の発表時には、賛否両論が巻き起こったと西宮氏は振り返る。

 発表直後に多かったのは、否定的な反応だ。「モノクロである」「手書きのみ」「通信機能がない」「タブレットでも同じことができる」などといった否定的な反応だ。Twitterを中心に、そうしたニュアンスの書き込みがWeb上で散見された。

 一方でこういうものを待っていたという声も多かった。販売が始まった2013年1月中旬以降は、好意的な反応が増えてきた。実際に買って試したと思われる人たちが、Twitterや掲示板サイト、家電量販店のショッピングサイトなどに、電子ノートの機能を評価する声を書き込んでいた。また購入者から送られてきたアンケートハガキの集計では、7割以上が文字の書き味とバッテリーの持ちを評価していたという。

 店頭にもその反応が顕著に表れていた。

 店頭に展示されたモデルは、「実際にさわった方々の試し書きが多数残っていた」(西宮氏)といい、端末を見た人の多くが手に取って試してみたことが分かったと西宮氏。電子ノートに対する好意的な反応を実感したという。

電子機器らしからぬ点にシニア層が注目

 西宮氏は「発表当初の否定的な意見は、若年層のものだったのでは」と推測。タブレットなどに慣れている若年層の意見と考えれば納得できるからだ。

デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部システムソリューション開発部の西宮氏。WG-N20を持ってのカット

 一方、アンケートハガキで電子ノートについて肯定的な意見を寄せる人達の年齢層はおしなべて高かった。40〜60代がほとんどを占め、しかも男性ばかりだったといい、期せずしてシニア層の掘り起こしに成功する結果となった。紙のノートを電子化したシンプルさ、単機能ゆえの取り扱いのしやすさなどが受け入れられたのだ。

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