インタビュー
» 2014年03月18日 17時15分 UPDATE

XPとOffice 2003のサポート切れが契機に――アイティーブレーンが「Office」をクラウド化した理由

クラウド化の波は、今やオフィスで日ごろ使っているソフトやサービスの分野にまで及んでいる。こうした中、中小企業は、いつ、どんなタイミングでクラウド化を進めるべきなのか。Office 365の導入を決めたアイティーブレーンに聞いた。

[柴田克己,Business Media 誠]

 ハードやソフトを資産として購入する時代から、使いたい機能やリソースを“必要な時に必要なだけ”使う時代へ――。ITシステムのクラウド化は、近年企業ITに起こった変化の中でも特に大きなものだといえるだろう。

 企業の規模や業態、必要な期間や用途に応じて、最もふさわしいクラウドサービスを選べる環境は、すでに整っているのである。

 こうしたクラウド移行の波は、これまで購入するのが当たり前とされてきた、ワープロや表計算ソフトなどのオフィスソフトの分野にも押し寄せている。「Word」や「Excel」といったメジャーソフトウェアのパッケージを提供してきたマイクロソフトも、現在は「Office 365」と呼ばれるサービスでクラウド化に取り組んでおり、IT環境のクラウド移行を進める企業にとって有力な選択肢のひとつとなっている。

 実際にOffice 365の導入に踏み切った中小企業は、どんな理由からオフィスソフトのクラウド化を進め、どんなメリットを感じているのだろうか。導入企業であるアイティーブレーンの担当者に話を聞いた。

導入のきっかけは「Windows XP」「Office 2003」のサポート終了

Photo Office 365の導入を決めたアイティーブレーンでシステム&ネットワーク営業本部のマネージャーを務める村中裕介氏

 東京 千代田区に本社を置くアイティーブレーンは、インフラ系のノウハウをベースに多数の大手SIerの技術支援を手がけているIT企業だ。同社がOffice 365の導入を検討する直接のきっかけとなったのは、いよいよ目前に迫ったWindows XP、Office 2003のサポート終了だったという。

 WindowsやOfficeといったマイクロソフト製品には「Windows Update」と呼ばれる仕組みが用意され、サポート期間中は新たに発見された脆弱性に対するパッチや、マルウェアの削除ツールなどがインターネット経由で継続的に配信される。

 Windows XPとOffice 2003については、サポートが終了する2014年4月以降、この仕組みが提供されなくなるため、今後、セキュリティリスクが大幅に高まることが懸念されている。そのため企業、個人を問わず、あらゆるPCユーザーに、新たなWindows OSやOffice製品への移行が求められている状況だ。

 「オフィス内には20台前後のPCがあるのですが、老朽化が進んでいたため、Windows XPとOffice 2003のサポート終了をきっかけにリプレースすることにしました。その検討を進める中で、オフィスソフトについては、クラウドサービスである『Office 365』の導入も視野に入れていたのです」

 そう話すのは、アイティーブレーンでシステム&ネットワーク営業本部マネージャーを務める村中裕介氏だ。

Photo Windows XPとOffice 2003のサポート終了は目前に迫っており、マイクロソフトも注意を喚起している

常に最新の「デスクトップ版Office」を使えることが決め手に

 ここで、Office 365がどんなサービスなのか、おさらいしておこう。Office 365は、マイクロソフトが「Microsoft Office」のブランドで提供しているさまざまな製品の機能を、1ユーザーごとの月額料金で利用できるサービスだ。1〜25人程度で利用できる小規模企業向けのものから、1000人以上で利用できる大規模企業向けのものまで、複数のプランが用意されている。

 アイティーブレーンが契約しているのは、ソフトバンクコマース&サービス(2014年4月にソフトバンクBBより分社化)が付加価値サービスをつけて提供している「BBWorks Office 365」で、プランは小規模向けの「Small Business Premium」(1ユーザーあたり1030円/月:年単位契約)と呼ばれるものだ。このプランでは、Webブラウザ上でWordやExcelといったOfficeドキュメントの表示や編集を行える「Office Web Apps」のほか、メールサーバの「Exchange Online」、コラボレーションサーバの「SharePoint Online」、リアルタイムコミュニケーションサーバの「Lync Online」、オンラインストレージの「OneDrive Business」といった機能をネット上で利用できる。

 さらにポイントとなるのは、このSmall Business Premiumでは、最新のOfficeソフトのネット提供版である「Office 365 ProPlus」を利用できる点だ。これはOffice Web Appsとは異なり、クライアントPCにネット経由でソフトウェアをインストールしておけば、ネットに接続していない環境下でも利用できるオフィススイート製品だ。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Access、OneNote、InfoPath、Publisherといった、パッケージ版Officeで提供されている製品の最新版を、契約期間中ならいつでもダウンロードして使うことができる。

Photo Office 365にソフトバンクコマース&サービスが付加価値をつけて提供するのが「BBWorks Office 365」。Office 365合わせて使うと便利なソリューションやユーザーサポートを提供する
Photo アイティーブレーンでアプリケーション開発部のマネージャーを務める清瀬貴純氏

 アイティーブレーンがOffice 365を選んだのは、このOffice 365 ProPlusの存在が大きい。同社アプリケーション開発部マネージャーの清瀬貴純氏は「仕事の中で、社内外の人とドキュメントをやり取りすることを考えると、Office 365が最善の選択肢だった」と振り返る。

 「Officeソフトのリプレースに向けて検討を進める中では、Google DocsのようなWeb上のオフィスソフトや、オープンソース由来の製品などももちろん調査しました。ただ、既存の大量のオフィスドキュメントとの親和性、細かいレイアウトや仕様などを確実に継承できるかどうかという点では、Microsoft Officeの最新版を使えるOffice 365がベストだと考えました」(清瀬氏)

 清瀬氏がパッケージ版のOfficeではなく、クラウド版のOffice 365を選ぶことで得られるメリットとして挙げるのは、「資産管理」の手間が軽減される点だ。従来、同社ではPCの購入時にOfficeのプリインストールモデルを選択しており、そのため社内は、OSがWindows XP、Windows 7、Windows 8、OfficeソフトがOffice 2003、Office 2007、Office 2010の混在環境になってしまっているという。

 「Officeをパッケージで購入すると、会社の資産として管理する必要が出てきます。また、この先バージョンが上がっていくと、さらに混在が進む可能性があり、管理の手間も増えてしまいます。Office 365は、月額ベースで使用料を支払っておけば、常に最新のOfficeをデスクトップで使うことができます。将来、全社での導入を進めれば、その管理スキームをシンプルにできるはずです。また、1ユーザーあたり1030円/月という価格は、パッケージ版のバージョンアップコストと比較した場合にも、ほとんど差はないと判断しました」(清瀬氏)

 数あるOffice 365リセラーの中からソフトバンクコマース&サービスを選んだのは、サポートと価格の面でメリットがあったからだという。

 BBWorks Office 365は、導入前のコンサルティングや支援に加え、技術的な内容を含む導入後のヘルプデスクについても、ソフトバンクコマース&サービスの窓口が一括して担当するため、社内サポートの手間が軽減される。「こうしたサポートサービスが、マイクロソフトとの直接契約(年間)と同額で提供される点はメリットになる」(同)

ITシステムの「クラウド化」は中堅中小規模企業にとっても必然

 現在、アイティーブレーンでは、BBWorks Office 365のSmall Business Premiumプランを通じて、同サービスの評価を続けている。現状は「パッケージ版Officeからの移行先」としての評価に留まっているが、今後は同サービスが提供しているさまざまなサーバ機能、クラウドストレージ機能についても活用を検討する方針だ。

 Office 365において標準で提供されている「Exchange Online」「SharePoint Online」「Lync Online」などは、従来であれば、社内に専用サーバを設置し、手間をかけて導入し、運用する必要があったシステムを、オンラインでより手軽に利用できるようにしたものである。メールやコラボレーション、コミュニケーションのためのシステムを自社内で持っていたり、既にSaaS/ASPで導入している企業も多いだろうが、こうしたシステムをOffice 365上で一本化できれば、さらなる運用管理コストの削減が可能になるはずだ。

 「資産管理や運用管理コストの面からも、特に専任の管理担当者を充てられない中堅中小規模の企業にとって、業務に必要なITシステムをクラウド化していく流れは必然だと思っています。現在、アイティーブレーンでも、業務のためのソフトウェア開発環境については、各社のIaaS、PaaSを活用している状況です。今後、BBWorks Office 365を実際に使っていく中で、メールやコラボレーションの環境も含めた社内のシステムをどれだけ効率的にクラウド化できるか、検討していきたいと思っています」(清瀬氏)

 アイティーブレーンでは、自社でBBWorks Office 365の評価を進めつつ、将来的にはインフラ構築に強いソフトバンクコマース&サービスのパートナーとして、ユーザーのOffice 365導入支援までを手がけることを視野に入れているという。

 ITシステムのクラウド化が進む中、既存のオンプレミス環境からのスムーズな移行を実現するためには、技術的な課題が表面化するケースも多い。自社運用で蓄積したノウハウをもとに「より費用対効果の高いクラウドサービスを導入するための支援ができれば」という。

 「クラウドへの移行は必然になってきており、実際に利用できるサービスも多い状況です。でも現状、オンプレミスで稼働している環境をそのまま、すんなり移行できるソリューションは世の中にはないと思っています。そこには、既存のシステムやネットワーク基盤の見直し、システム連携、セキュリティなど、さまざまな課題が存在するからです。アイティーブレーンでは、今回のBBWorks Office 365の社内運用を通じたノウハウの蓄積をもとに、ソフトバンクコマース&サービスとも協力しながら、同様の課題を抱えた企業が、予算的にも内容的にも満足できるクラウド移行を実現するサポートをしていきたいと考えています」(村中氏)

企業紹介:アイティーブレーン

インフラ設計と運用、仮想サーバ構築、BCP対策、ITコスト削減、各種システム開発を手がけるマルチベンダー対応のシステムインテグレーター。今後はソフトバンクコマース&サービスのパートナーとして、ユーザーのOffice 365導入支援を手がける予定。


  • 社名:株式会社アイティーブレーン
  • 設立:2002年4月4日
  • 総人員数:110人(契約社員含む2013年4月現在)
  • 代表取締役:伊藤隆教
  • 事業所:〒102-0083 東京都千代田区麹町2-2-22-11F
  • TEL:03-3221-5020(代)
  • 事業サイト:http://www.it-brn.com/
  • 連絡:contact@it-brn.com

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