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» 2014年03月20日 11時00分 UPDATE

新連載「そのひとことを言う前に」:仕事の“やる気スイッチ”は5タイプに分けられる

仕事で後輩や部下のやる気を高めるには、どう指示を出せばよいか。実は多くの人が間違った指示をしがちです。相手のやる気になるポイントを探すことが大事ですが、気付かないうちに自分の価値観を相手に押し付けていることも……。

[岩淺こまき,Business Media 誠]

連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。一度、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 仕事でどう指示を出せば、後輩や部下のやる気が高まるか。

 上司となった人の多くが悩む問題でしょう。相手のやる気を高めるような声かけはしているつもりなのに、どうも反応がよくない――。そんな人は相手にとって検討違いの言葉を選んでしまっている可能性があるのです。

 やる気になるポイントは人それぞれ。相手の琴線に触れる言葉を選ばないと、期待する効果は出ません。モチベーションを高めるさまざまな理論がある中から、今回は「職務特性理論」を使って、どう言葉を選べばよいか考えてみましょう。

 職務特性理論を簡単に説明すると、それは相手が喜ぶポイントを刺激するように、仕事の指示や声かけを行うと、相手のやる気が高まるというものです。そして、人が仕事においてやる気になるポイントは大まかに5つあり、人によって異なります。なので、相手がどのタイプに当てはまるか、見定めなければいけません。

職務特性理論における、仕事の“やる気ポイント”
要素 説明
多様性 仕事を行う上で、さまざまなスキルを使えるか
一貫性 仕事の全体像を把握でき、まとまりがあるか
有意味性 関係者に対して、どれくらい意味や価値をもたらすか
自律性 計画や遂行に対して、自分で決められる裁量があるか
フィードバック 成果や事実がフィードバックとして得られるか

 いかがでしょうか。相手が有意味性でやる気に出す人なら、仕事を指示する際には、任せる仕事の意味を相手が理解できるように伝えればいいのです。

やる気のポイントが違うときに起こる失敗

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 逆に、相手のやる気になるポイントとは異なる部分を、刺激し続けてはいけません。「この人分かってないなぁ」と思われるばかりか、下手をすると相手の心が折れてしまいかねません。

 こうしたミスは、自分と相手のやる気になるポイントが異なる場合によく起こります。部下が仕事の進め方で相談にきたというシチュエーションにおいて、よくある失敗例を見てみましょう。

ケースA:自律性が高いリーダーと自律性が低いメンバーの場合

メンバー: お忙しいところすみません。この仕事なんですけど、どのように進めればいいでしょうか?

リーダー: いや、それは自分で好きに決めていいんだよ。責任は俺が持つからさ。自信を持って! 今までやってきた君なら絶対いけるでしょ。

メンバー: はい……、わかりました(結局丸投げなんだ……。この人、俺のこと嫌いなのかな)。

ケースB:自律性が低いリーダーと自律性が高いメンバーの場合

メンバー: お忙しいところすみません。この仕事なんですけど、○○のように進めて大丈夫でしょうか?

リーダー: うんうん。ちなみにこの仕事だけど、この棚に今までの資料があって、手順を参照できるから見てみてね。ちなみにこの部分はミスが起こりやすいから注意して。いや、一緒にやってみようか……。

メンバー: え、いや……はい(正直うっとうしい。そんなに私のことを信頼してないの?)。

ポイント別モチベーションをあげるセリフ例

 まず自分は何のポイントが強いのか、相手はどこのポイントが強いのかを見極めましょう。両者が一致していれば、自分のぐっとくるセリフをそのまま言えばよいのです。一方、両者が異なる場合は注意が必要です。以下の例を参考にしてみてください。

多様性:仕事を行う上で、さまざまなスキルを使えるか

 「この仕事、君ならうまくやれるんじゃないかな。今までの部署での経験も生かせるし、研修で学んだけど使う機会がなかったスキルも活用できる。いい機会だと思うよ。がんばって」

一貫性:仕事の全体像を把握でき、まとまりがあるか

 「企画からお客様への提案、クロージングまで一通り君に担当してもらいたいと思ってる。一連の流れをすべて体験できる機会って、実はなかなかないんだ」

有意味性:関係者に対して、どれくらい意味や価値をもたらすか

 「今回も得意先のA社から仕事の依頼を受けたんだけど、ぜひ君にやってほしい。A社にとっても3000万円の売り上げが見込めるし、この取引が成功すれば、うちのチームの予算達成もほぼ確実になるよ」

 「お客様が今後注力していく分野の先駆けになるほどの、期待されている分野なんだよ。ぜひ成功するように、お客様のためにもがんばってくれ」

自律性:計画や遂行に対して、自分で決められる裁量があるか

 「この仕事は君に任せた。今までの実績もあるし大丈夫。何かあったら私が責任を取るよ。自由に、思い切ってやってくれ!」

フィードバック:成果や事実がフィードバックとして得られるか

 「君のおかげでうちのECサイトでも化粧品の取り扱いが始まった。これから運営もよろしく頼むよ。毎週月曜日に、必ず関係者のレビューが入るようになってる。もちろんWebシステムで売り上げの推移は常にチェックできる。成果が上がれば、ボーナスにも反映されるしな。分かりやすくていいよ」


 相手は何がやる気のポイントかを見定めるには、日々の観察や地道な努力が欠かせません。ポイントの強弱も人それぞれ。ある1つのポイントだけ特出して強い人もいれば、2、3個のポイントを大切にしている人もいます。さまざまな角度から声をかけて、最も反応のよかったポイントをつかんでおき、ここぞ、という場面では外さないように準備をしておくことが必要なのです。

今回のまとめ

Q:仕事で後輩や部下のやる気を高めるには、どう指示を出せばよいですか? 相手のやる気を高めるような声かけはしているつもりです。

A:相手にとって、見当違いの言葉をかけているかもしれません。仕事の指示や普段の声かけは、相手のやる気を刺激する言葉を選んで行うのが効果的です。人が仕事でやる気を感じる点は5タイプあるので、日々の観察から、相手がどのタイプか見定めましょう。


著者プロフィール:岩淺こまき

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 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師

 大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。



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