ただの“仲良しグループ”は“チーム”ではないそのひとことを言う前に(1/2 ページ)

チームのリーダーとして、「チーム内今どのようなコミュニケーションがされているか」という点に意識を向けたことはありますか。一見衝突がなく、和気あいあいとしているように見えても、それはチームとしてベストな状態ではないのです。

» 2015年05月14日 08時00分 公開
[岩淺こまきITmedia]

連載「そのひとことを言う前に」

 職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。


 会社で働いていると、プロジェクトや部署といった形の“チームを組んで”仕事をすることが多いのではないでしょうか。

 チームとして成果を上げるために、業務のスケジュールやクオリティなど、リーダーはさまざまなことに気を配っていると思いますが、「チーム内で今、どのようなコミュニケーションがなされているか」という点に意識を向けたことはあるでしょうか。

 コミュニケーションがうまくいっているチームは、メンバーの力を十分に発揮できる素地があると言えます。一方でコミュニケーションの質がイマイチだと「悪くないけどイマイチ乗り切れないチーム」になってしまいます。例えば、チーム内で次のようなセリフを耳にしたことはありませんか?

<チームメンバー同士の会話>

Bさん:そういえば、今一緒にやっているタスク、合わせてレビューするのは、提出日直前でいいですかね?

Aさん:直前ですか。ああ、私もそう思ってましたよ。

Bさん:あ、そうですか。気が合いますねー。

Aさん:ええ、お互い忙しいですもんね。

<チームメンバーとリーダーの会話>

リーダー:チームとしてまだ始まったばかりだけど、どう? 何か困ったことある?

Aさん:いえいえ、特に問題はないですよ。

リーダー:で、定期的に打ち合わせした方がいいと思ってるんだけど、月1回でいいかな?

Aさん:リーダーの都合もありますし、それでいいと思います。

リーダー:そういえば、同じタスクをやってるBさん、どう? ちょっと作業雑みたいだけど。

Aさん:今のところは、問題ないです。

photo チームのリーダーとして、メンバー間のコミュニケーションに意識を向けたことはありますか?

和気あいあいとしているチームに潜む“落とし穴”

 こうした会話は一見、何の問題もなさそうに見えます。Bさんやリーダーへの否定や衝突もなく、周囲からは「わきあいあいとしている」「仲がよさそう」と思われるかもしれません。良好な雰囲気だし、このまま進めていけばいいのでは? と思うかもしれませんが、実際のところ、Aさんは次のように思っているかもしれないのです。

ケースA:相手の出方をうかがってしまう

Bさん: そういえば、今一緒にやっているタスク、合わせてレビューするのは、提出日直前でいいですかね?

Aさん: 直前ですか(いや、さすがに遅くね?)。ああ、実は私もそう思ってましたよ。

Bさん: あ、そうですか。気が合いますねー。

Aさん: ええ、お互い忙しいですもんね(参ったな、手戻り出ないようにしないと……)。

ケースB:不満があるけど言えない

リーダー: チームとしてまだ始まったばかりだけど、どう? 何か困ったことある?

Aさん: (困ったというほどでは……)いえいえ、特に問題はないですよ。

リーダー: で、定期的に打ち合わせした方がいいと思ってるんだけど、月1回でいいかな?

Aさん: リーダーの都合もありますし、それでいいと思います(間空きすぎじゃね? 大丈夫かな)。

リーダー: そういえば、同じタスクをやってるBさん、どう? ちょっと作業雑みたいだけど。

Aさん: 今のところは、問題ないです(多分ね……)。

 このように、Aさんの(本音)の部分を考えた場合、このまま放置しておくのはよくないことが分かります。お互いの出方をみて遠慮し、リーダーに対しても意見や不満を抑えているためです。尊重という名の遠慮をしていて“こうすべきなのでは”“こうした方がよりよくなる”といった意見を伝えられない状態です。これでは成果を出せるチームにはなりません。

 どうすれば、成果を出せるようなコミュニケーションが生まれるのでしょうか。

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