数回にわたって「デキるチームを作る」方法を紹介してきましたが、今回はついに最終回。好調を持続させるコツと、意外と大事なプロジェクトの“終わらせ方”について解説します。
職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。
ダメなチームのコミュニケーションには共通の特徴がある。リーダーやプロマネは、チーム内で交わされるコミュニケーションを観察して、その都度テコ入れを行い、最高の成果を出せるチームにしよう――ここまで3回の記事を通して、心理学者の提唱した「タックマンモデル」になぞらえて、「リーダー(やプロマネ)が何をすべきか」を紹介してきました。
今回はいよいよ最後、メンバーが正しいチームルールに基づいて、最高のパフォーマンスを出せる“Performing”を持続させる工夫と、チームの解散時“Adjourning”においてリーダーがするべきことを考えていきましょう。
前回の記事は、チームが“Norming(規範期)”の状態にあるとき、個人で勝手に作ってしまうルールに適切な対応をし続けることで“Performing(機能期)”に進めるという話をしました。
誤解を恐れずに言えば、Performingまで進んだチームに対し、リーダーがすべきことは何もありません。強いて言うならば「チームをよく観察し、かつ干渉しない」こと。これこそがPerformingを長続きさせるコツなのです。
この段階まで進んだチームは多くの場合、メンバーは成果を出すことに集中し、仮に問題が起こったとしてもメンバー主体で助け合う“協働”の体制が確立されています。しかし、せっかくのPerforming状態が、リーダーの安易な働きかけで、あっさり壊れてしまうことも少なくありません。
うまくいっている人に対して、特に何の理由や狙いもなく「お、頑張ってるねー」「なんか困ったことない?」などと話したことはないでしょうか。こうした発言がきっかけでメンバーが成果に集中できなくなってしまった――という失敗例もよく耳にします。リーダーの介入はもういらないのです。
それでも介入してしまうのは「沈黙に耐えられなかった」「メンバーだけで完結できる状態に疎外感を感じた」など、自分都合の衝動によるものが多いようです。「リーダーなんだから、チームのためにそれくらい我慢しなよ」と思う人もいるかもしれませんが、リーダーも人間ですし、特に心配性の人が陥りやすいので注意が必要です。
思い切って“皆さんのじゃまはしません”くらいの感覚で任せる方が、チームはうまく回るはずです。それでも心配という方は、チーム外の人に相談するのがよいでしょう。極力、チーム内に余計な波風を立てないことを心掛けてください。
そして、「余計な介入をしない」という姿勢を貫きつつも、「困ったことあったらいつでも助ける」というスタンスを示し、メンバーからSOSの予兆が出てないかは常に観察しましょう。
とはいえ、一日中ずっと観察し続けると自分の仕事が進まなくなるので、時間やタイミングといったルールを決めて行うのが現実的です。例えばトイレに行くときに、必ずメンバーの席の近くを一通り通ってみる……などです(メンバーが自発的に相談しやすくする効果もあります)。リーダーには、メンバーの集中力を切らさぬよう、かつ、懸念や疑問はすぐ解消できるような環境を維持する技量が求められるのです。
さて、最後はプロジェクトの解散“Adjourning”です。優秀といわれるリーダーやプロマネはここでもさまざまな工夫を仕掛けていきます。
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