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» 2014年10月20日 07時00分 UPDATE

表現のプロが教えるスピーチの兵法:印象が弱い人の言葉は“響かない”――伝わる人の“キャラづくり”とは (2/2)

[企業実務]
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Photo 表2 次の3ステップで印象形成を図る

ぼやけた印象の人の話は聴いてもらえない

 このカテゴリー分けは、あなたの周りにいる方々を当てはめていくと理解が進むでしょう。

 たとえば、社長は「社会的望ましさ」、取引先の営業部長は「活動性」、部下の〇〇さんは「親しみやすさ」……という具合です。

 「どの要素に入るのか、いまひとつ分からない」という人がいたら要注意です。人の振り見て我が振り直せ。あなた自身が、こういう“印象のぼやけた人間”にならないようにしましょう。

 印象がはっきりしない人の言葉は、メッセージ力がない、軽々しく上滑りなものにしかなりません。そのような人の表現が相手に伝わるはずがありません。

 「社会的望ましさ」のある人が「私にお任せください」と言うから信頼するのであり、「活動性」のある人が「目標達成に向けて一緒に頑張ろう!」と言うから周りの人間は従うのであり、「親しみやすさ」がある人が「何か手伝いましょうか?」と言うから優しさを感じるのです。

 大事なのは、あなたの印象と話し方の一貫性なのです。

重要なのは“自分に必要なスキル”の見極め

 言葉の分類は終わりましたか? あなたが目指す印象は、どの要素が多かったでしょうか?

 「自分にとって、どの要素が大切なのか」に気づいたときが話し方を学ぶベストタイミング、あなたのスタート地点です。

 そして、「目指したい印象のグループに合わせた話し方のみ」を身につけましょう。ポイントは「のみ」です。

 一般的に上手とされている話し方のテクニックは、すべてのビジネスパーソンに必須のものではない、と私は思っています。自分の印象に合っていなければ、「大きく通る声」や「聞き取りやすい発音」「論理的な話の構成」は必要ないのです。

 私が担当するスピーチコンサルティングでは、クライアントの目指す印象によっては小さい声で話すことをお勧めするときもあります。明瞭な発音をしないほうがよい方もいるのです。

 話し方のテクニックを完璧にマスターするには、アナウンサーであっても大変な時間と努力が求められます。あなたは話し方のプロではありません。自分の印象と一貫性のとれた話し方のスキルのみを習得すれば十分です。

 自分に必要なスキルとそうでないスキルを見極めることは、タイムマネジメントにもつながります。これこそ私がご提案したいことです。

 今後は、話し方の常識について悩んだり無駄に使っていた時間を別のことに使いましょう。


 2012年12月の衆議院議員選挙で、私は立候補者の演説トレーニングを担当しましたが、最初に時間をかなり割いたのが今回紹介した「相手に植えつけたい自分の印象の言語化」でした。今回の内容、じつはとても重要なのです。

 次回は3つの要素別に、「具体的にどういう話し方をしていけばよいか」をお伝えします。次回までに、自分はどの要素を狙うのかを決定してくださいね。

今月のポイント

自分の印象を明確にしなければ“メッセージ力”は生まれない。

目指したい印象を定め、それにふさわしいスキルだけを習得しよう。


著者プロフィール:矢野香

キャスター歴17年。主にニュース報道番組を担当。大学院では心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究。現在は、政治家・経営者・管理職を中心に「信頼を勝ち取るスキル」を指導。著書に『その話し方では軽すぎます! 〜エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』がある。著者オフィシャルサイト


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