フジテレビが放送する格闘技イベントは成功するのか赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2015年12月10日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]
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フジテレビの社内事情

 この「RIZIN」の旗揚げ戦で気になる点がある。それは「なぜ、このタイミングにおいて日本でMMAビッグイベントが復活することになったか」である。それに関して言えば、実は同イベントをバックアップするフジテレビの社内事情が大きい。

 近年、深刻な視聴率低迷にあえいでいる同局は何かと世間に話題を振りまく大晦日の放送でも大苦戦を強いられ続けている。NHK紅白歌合戦の裏番組として昨年の同日21時から放送した「ワンピース エピソード オブ チョッパー プラス 冬に咲く、奇跡の桜」が平均視聴率3.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と同時間帯で民放最低の数字を記録。いよいよ追い込まれた同局の関係者が起死回生の策として、かつて大晦日の視聴率獲得番組としてキラーコンテンツだったMMAイベント放送を復活させるべく、旧PRIDEのスタッフに「RIZIN」の旗揚げプランを持ちかけたことが、そもそものきっかけだったという。

 とはいえ思えば、2006年の6月5日に同局が「PRIDE」の放送を一方的に打ち切った理由は「重大な契約違反があった」という点だった。「PRIDEの一部運営スタッフに“黒い交際”があった」ということは当時の一部メディアでも報じられて広く知られているが、その問題が果たしてすべてクリアになっているのかが気がかりである。

 過去のイザコザには目をつぶる――そんな必死感丸出しのフジテレビが社運をかけた同イベントが成功するかはフタを開けてみなければ分からない。しかも同局が「PRIDE」をキラーコンテンツとしていた時代と違って、昨今のMMAイベントは「UFC」(「金網、究極ルール」という演出がウリ)が世界の主流として認知されているのが現状だ。そのような流れの中で今、明らかに色物ムードも強く漂うようなカードが多々組まれている「RIZIN」が世の中の人たちにスンナリと受け入れられるのかという点についても疑問が残るところである。

 いずれにせよ来年以降も定期的なイベント開催が予定されている「RIZIN」の旗揚げ戦の成功の可否が経営面でダッチロールの続くフジテレビ及び、停滞している日本MMA界の浮沈の行方を左右すると言っても過言ではない。

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