先進企業のオフィスはここまで違う コミュニケーションが変わるオフィス空間とは?(1/2 ページ)

» 2016年03月10日 08時00分 公開
[ITmedia]

 ITmedia ビジネスオンライン編集部主催のイベント「強い企業はここが違う! 今こそオフィス改革&働き方変革」が2月19日に開催され、オフィス改革や働き方変革の分野で成果を上げている企業が講演を行った。基調講演と特別講演では、クックパッドとチームラボが自社の取り組みについて紹介。本稿では両セッション内容をお伝えする。

コミュニケーションを誘発させるオフィスとは

 基調講演に登壇したのは、日本最大のレシピサービスを運営するクックパッドの人事部ワークプレイスプロデューサー、梶尾俊氏。自身が責任者を務め、2013〜2014年にかけて実施した同社の「オフィス移転プロジェクト」について紹介した。

photo 梶尾俊氏

 同社は、2014年9月に白金台から恵比寿ガーデンプレイスタワーにオフィスを移転。2013年からエリア決めと物件探しに着手し、2014年1月に新オフィスへの移転プロジェクトが本格的にスタートした。

 同社が当時抱えていた課題は、フロアが3つに分かれていたことにより、社員同士のコミュニケーションが分断化されてしまう傾向があったことだ。社員が増えるにつれ部署間の連携が難しくなり、このままでは変化に対応ができない弱い組織になってしまうという危機感があった。そこで、社員間の「コミュニケーション活性化」を新オフィスのコンセプトとし、オフィス作りのプランを組み立てたという。

 「新オフィスには、エントランスから見渡せる位置にクックパッドオフィスの顔である社員のためのキッチンを配置する他、気軽に集まって議論ができるスペースを各執務エリアの随所に配置しました。コミュニケーションを誘発させるポイントを意図的に作ったのです」(梶尾氏)

 気軽に集まり議論ができる場を社内の随所に配置することで、メールやチャットツールに頼ることなく、自然と対面でのコミュニケーション量を増やすことができると梶尾氏は説明する。

 また、和室の会議室や、靴を脱いで自由な姿勢で作業ができる多目的スペースを用意した。単なる会議スペースではない場所を作ることで、社員同士の自由な発想が生まれやすくなり、コミュニケーションが活発化することにつながるのだという。

photo 多目的スペース

 さらに、社内にキッチンがあることにより、そのキッチンで料理をする人同士の新たなコミュニケーションが生まれる。「料理と向き合い、料理を楽しむことで生まれる自然なコミュニケーションを、クックパッドは大切にしています」(梶尾氏)

 キッチンは来客者が最初に訪れるエントランスの近くに設置し、社員が料理をしている光景がガラス越しに見渡せるようになっている。料理を楽しんでいる社員の姿を見てもらうことで、クックパッドの雰囲気や強みを肌で感じてもらうことができるのだ。

photo 他部署との交流が活発になる

 移転後も、社内でオフィスに関するアンケート調査などを行い、改善活動を続け、オフィスの物理環境だけでなく、社内のコミュニケーションを活発化させる施策にも着手している。

 「クックパッドのキッチンはコミュニケーションの原点。キッチンを使った社内交流イベントやワークショップなどの人が集まる機会を作ることで、社員同士の交流が生まれているのです」(梶尾氏)

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