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» 2018年02月27日 11時00分 公開

中の人に聞く:お金が集まるプロジェクトにはどんな共通点がある? (1/3)

不特定多数の人からインターネット経由で資金を集めるクラウドファンディング――。「お金が集まる商品と、集まらない商品の違い」とは? クラウドファンディングの中の人に聞いた。

[鈴木亮平,ITmedia]

特集「テクノロジーが変える「資金調達」のカタチ」:

 財務部門の大きな役割の1つが資金調達だ。これまでは、金融機関からの融資(デットファイナンス)や、株式によるマーケットからの調達(エクイティファイナンス)が当たり前だったが、近年はクラウドファンディングや仮想通貨を使用した資金調達など、新たな手段が注目されている。

 こうした既存の手法に頼らない資金調達を成功させるためには、何が必要なのか。成功企業やサービス提供者に話を聞く。


 不特定多数の人からインターネット経由で資金を集めるクラウドファンディング――。新しい資金調達の手段として、個人だけではなく企業や自治体も活用するケースが増えてきており、市場は急速に拡大している。

 数千万円規模の資金調達に成功したプロジェクトも多く見られるようになり、中には1億円を超えるプロジェクトも誕生している。

 ここで、気になるのは「お金が集まるプロジェクトと、集まらないプロジェクトの違いはどこにあるのか」ということである。一見、同じような内容に見えても、調達額に大きな違いが生まれるのはなぜなのか。

 (購入型の)クラウドファンディングの活用を検討している企業にとっても気になるテーマだろう。資金が集まりやすいプロジェクトの共通点とは? クラウドファンディングの活用に向いている企業とは? クラウドファンディングサイト「Makuake」を運営するマクアケの中山亮太郎社長に話を聞いた。

photo 中山社長

出資者は「消費」の感覚で出資をしている

――まず、改めてクラウドファンディングの特徴について聞きたいのですが、他の資金調達方法と比べてどのような違いがありますか?

中山: まず、お金を出す側の目的が異なります。株式の場合はキャピタルゲインや、決議権を得ることで自社との経営シナジーを生み出すことを期待して出資します。

 一方、「購入型」クラウドファンディングの出資者の場合は「もうけよう」という文脈ではなく、「欲しい」「行きたい」といったモチベーションが強く、投資よりも「消費」に近い感覚で出資をしています。金銭的な見返りを期待していない部分が既存の投資とは大きく異なる点です。

 ですから、事業の収益性、成長性などではなく、一般の消費者に「欲しい」「行きたい」と思ってもらえるプロジェクトを提示できているかが重要になります。

 また、純粋に応援したいという気持ちが出資する動機になっているケースが多いことも特徴です。

――資金面で余裕がある企業でも、クラウドファンディングを活用する事例が増えてきています。どのような目的で活用しているのでしょうか。

中山: 企業が資金調達だけを目的としてクラウドファンディングを活用するケースは少なくなっています。どちらかというとテストマーケティングやプロモーション、初期の顧客獲得を目的に活用することが多いです。

 主に製造業における話ですが、新商品(量産品)を作るためには大きなリスクを取らなければなりません。売れなければ大量の在庫を抱えることになりますので、市場調査をするなどしていかに成功確率を上げるかが長年の課題でした。クラウドファンディングを活用することで、新商品のアイデアに対する世の中の反応が見ることができます。

 もちろんこれまでも、アンケート調査などでニーズ調査をすることもできました。しかし、クラウドファンディングとは調査の精度が異なります。単なるアンケート調査の場合「欲しい」「買いたい」という回答が得られたとしても、その“本気度合い”が見えてきません。

 クラウドファンディングの場合、実際に「お金を払う」(出資する)というアクションがありますから、本気で欲しいと思っているユーザーの数が分かります。つまり、高角度のユーザー、コアなファンを見える化できるわけです。

 しかも、SNS上で拡散されればプロモーションも同時に行うことができ、初期の顧客獲得にもつなげられる。資金調達だけではなく、こうした複数のメリットを受けられることが企業に支持されている要因です。ですから「株式での調達や融資よりも手軽だから、クラウドファンディングに頼る」という話ではないのです。

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