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» 2018年07月27日 08時30分 公開

必須キーワードを識者が解説:「副業解禁」時の注意点とは? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説 (1/2)

働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「副業・兼業」についてーー。

[高仲幸雄,ITmedia]

「働き方改革」の用語解説

働き方改革関連法が可決・成立し、企業にも具体的な対応が求められます。企業の人事担当者が押さえておくべき「働き方改革」のキーワードをピックアップ。労働問題を扱う新進気鋭の弁護士が、用語の概念と企業が取るべき具体的な対策方法を解説します。今回は「副業・兼業」について――。


 最近は特に「副業・兼業」を推奨する雑誌の記事や報道を目にする機会が増えてきました。しかし、企業として全面的に副業を解禁することにはさまざまなリスクがあり、不安を覚えるのが実際のところではないでしょうか? インターネットの普及によって副業・兼業が容易になっている現状では、副業を全て禁止することで、豊富な専門知識やアイデアを持った有能な社員が離職・転職したり、社員が隠れて副業・兼業したりするリスクもあるので、企業としては副業・兼業に対するスタンスを決めておくべきでしょう。

photo 社員に副業を許可する際に、企業はさまざまなリスクを背負うことになる

(1)副業・兼業の促進に関する動向

 就業規則の服務規律や懲戒事由では、「副業・兼業」が禁止事項となっていたり、許可制(原則禁止)となっていたりすることがあります。裁判例をみると、副業・兼業の規制に違反した従業員の懲戒処分や普通解雇といった措置の有効性判断において、副業・兼業を規制する合理性や当該規制違反の重大性が争われています。

 もっとも、最近では、政府主導で「副業・兼業」への規制を緩和する動きがあります。まず、経済産業省は2017年3月に「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業 研究会提言〜パラレルキャリア・ジャパンを目指して〜」を公表しました。また、同月に政府が公表した「働き方改革実行計画」の中でも「柔軟な働き方への移行」として、副業・兼業を容認するという方向性が示されています。

 その後、18年1月には(1)「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、(2)厚生労働省による「モデル就業規則」に書かれていた「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という労働者の順守事項が削除され、副業・兼業に関する規定が新設されました。

(2)副業・兼業を禁止し続けるか? 一部解禁するか?

 「副業・兼業」を推進する動きがある一方、人事部門としては本業に支障が出るという懸念や、従業員の職務専念義務や秘密保持義務・競業避止義務との調整も考えなければなりません。また、長時間労働の防止や健康管理の観点から、労働時間の把握や管理も必要となるなど課題もあり、いまだに慎重な姿勢をとっている企業も少なくありません。

 しかし、企業で就労する労働時間以外は、本来は社員が自由に使える時間であり、これを拘束するには相応の理由が必要です。裁判所も、就業規則などで副業・兼業の禁止規定があったとしても、労務提供への支障や企業秩序への影響を考慮して懲戒処分の有効性を判断するとしており(労働契約法15条参照)、副業・兼業の禁止規定に違反した社員を一律に懲戒処分できるわけではない点に注意してください

 社員に滅私奉公を求め、自社以外で収入を得ることを禁止すれば、企業側としても、それに見合った雇用保障や給与が求められるでしょう。また、副業・兼業によって高額の収入を得る可能性のある優秀な社員が退職して起業したり、副業・兼業を解禁している他企業に転職したりしてしまうリスクもあります。

 現在はインターネットの普及によって、手軽に副業ができる環境にあり、副業・兼業の一律禁止によって、社員が隠れて副業や兼業をするというリスクも無視できません。

 副業・兼業を許可制とし、不都合なケースのみ禁止する、または許可に当たって条件を付ける(条件付許可とする)という方法が、企業の人事施策としても現実的な選択肢となってきているといえます

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