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「副業解禁」時の注意点とは? 人事担当者必見の「働き方改革」用語解説必須キーワードを識者が解説(2/2 ページ)

» 2018年07月27日 08時30分 公開
[高仲幸雄ITmedia]
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【チェックリスト】

 副業・兼業を許可制にする場合でも、職務専念義務や秘密保持義務・競業避止義務との関係を検討する必要があります。さらに、長時間労働の防止や健康管理の観点から、労働時間の把握と管理が必要になります。

 以下は、副業・兼業を許可制にする場合のチェックリストです。

1. 副業・兼業に関する動向を把握し、資料を入手したか?

2. 副業・兼業に関する規定・運用を確認したか?

  • 正社員以外に非正規社員への規定についても確認する。
  • 職務専念義務以外にも、秘密保持や競業避止に関する規定も確認する。
  • 過去に副業・兼業を許可した事例、実績を確認する。

3. 副業・兼業を許可する場合、いかなる条件を設けるか?

  • 規定する事項としては、(1)禁止・制限の方法、(2)許可・不許可事由、(3)許可に当たっての条件・手続き、(4)許可後の報告義務、(5)許可後の取り消し事由、などがある。

4. 許可条件を順守しているかをどのように把握するか?

  • 誓約書や報告書の提出により確認する。
  • 許可期間を設定し、更新時に順守状況の確認を実施する。

5. 副業・兼業の時間(労働時間)を把握する際の留意点は?【注】

  • 割増賃金や健康管理の観点から副業・兼業の日数・時間の把握が必要。
  • 外国人留学生や未成年者に関する労働時間規制も確認する。
photo 「副業・兼業」を許可制とする際のチェックリスト(筆者作成)

【注】

 副業・兼業では、労働時間の規制にも注意が必要です。労働基準法38条1項では、異なる事業場における労働時間を通算することとしており、事業主(使用者)が異なる場合でも通算されるからです(昭和23年5月14日基発769号)。

 労働基準法は強行法規なので、労働者側との合意によって上記通算を排除することはできません。また、労働時間に該当するか否かは客観的に決まる(当事者間の合意によって決まるものではない)というのが判例(最一小判平成12年3月9日)なので、「就業規則や合意書で『副業・兼業の時間は労働時間には該当しない(算入しない)』という取り扱いもできません。

 副業・兼業における労働時間管理については、チェック項目「1」で挙げた「ガイドライン」や「Q&A」で解説されています。


著者プロフィール

高仲幸雄(たかなか ゆきお)

中山・男澤法律事務所パートナー 弁護士 

早稲田大学法学部卒業。2003年弁護士登録。現中山・男澤法律事務所所属。国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師。著者に『改訂版 有期労働契約 締結·更新·雇止めの実務と就業規則』(日本法令)、『異動・出向・組織再編 適正な対応と実務』(労務行政)など著書多数。


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