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中京テレビの「2次会強要禁止」、“飲み会も仕事のうち”は変わるのか河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(5/5 ページ)

» 2018年07月27日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]
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「異常」をやめる勇気を持つ

 ただ、1人の人間と正面から向き合うことほど難しく、怖く、面倒くさいことはない。その面倒くささから逃げた人たちが、「コミュニケーションが足りない? だったら、飲み会でもやるか!」と、安易に飲みニケーションに走っているのです。

 もちろん、飲みに行くのは悪いことじゃないし、会社やチームの節目のセレモニーとして、飲み会をすることには大賛成です。

 中京テレビの例で言えば、「打ち上げや歓送迎会など職場の飲み会は原則1次会だけ」。これでジ・エンド。その後は解散がベスト。そこに社長が「わが社の働き方改革」として、くさびを打ち込んだのです。

 あっぱれです!

 欧米にもこういった飲み会はありますが、全て勤務時間内です。午後3時スタートで6時にエンド。予定のある人からさっさと帰るので、ボスが1人残されるなんてことも起きるそうです。

 日本のサラリーマンのお酒の飲み方は「マラソンドリンキング」(ダラダラ飲み)と米国人に揶揄(やゆ)されることもあります。日本では当たり前のことが、外国の方のまなざしを通せば「異常」に見える。こんな「異常」をやめる勇気も「働き方改革」だと思うのです。

 ……おっと、大切なことを忘れるところでした。先の改革では、「勤務日を5日連続の休暇にする『リフレッシュ休暇』を取った社員に奨励金を出す」と断言しています。じっくり休んでリラックスすれば、仕事のモチベーションもチャージされるはず。今後の中京テレビがどんないい番組を作るのか? こちらも興味津々です!

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)


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