ITの普及が遅れていた教育業界だが、近年IT企業が続々と参入し、日々新たなサービスが開発されている。EdTechといっても、デジタル・オンライン教材としての学習コンテンツから、それらを提供するプラットフォームのほか、学習者や教員向けの学習支援・管理ツールなどさまざまなものがある。EdTech市場は黎明(れいめい)期ということもあり、大小さまざまなプレイヤーが乱立しているのが現状である。
数多くの講座を無料で受講できるオンラインサービス「gacco」(ドコモgaccoと日本オープンオンライン教育推進協議会が連携して提供)や、児童・生徒向けサービス「勉強サプリ」「受験サプリ」(リクルート)などがある。その他にも「Studyplus」(スタディプラス)などの学習SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や、月額定額でオンライン授業を自由に受けることができる「Schoo」(Schoo)など、多種多様なサービスが存在している。
中でも「gacco」に代表されるMOOC(Massive Open Online Courses)は、インターネット上で誰もが受講できる大規模なオープン講座で、その多くは無料である。まだ市場規模は小さいものの、オンラインで講義を提供するだけでなく、受講者側のデータを蓄積し、ビッグデータとして活用して人材ビジネスにつなげるなどの新たな可能性を秘めており、世界中で注目が集まっている。
さまざまなサービスが開発されているEdTech市場ではあるが、課題も多い。現在提供されているサービスの多くが、無料または低料金である。そのため、数多くのサービスが存在する一方で、収益を上げているサービスは少ない。野村総合研究所(NRI)は、2016年度におけるEdtech市場規模を約1700億円と推計しており、市場拡大の余地はまだまだ大きいと考えられる。
今後、公教育における情報端末の整備が進む2020年前後にかけては、主に児童・生徒向けの教科学習コンテンツが市場を先導し、23年にはEdTech市場全体で約3000億円に達する見込みだが、さらなる市場拡大には、消費者や企業が利用したいと思えるようなサービスを生み出せるか、また収益化可能なビジネスモデルを確立できるかが鍵となるだろう。
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