なぜ「お化け屋敷」で人は“ビビる”のか 仕掛人に聞いた水曜インタビュー劇場(ぎゃあああ公演)(2/7 ページ)

» 2018年09月26日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

どんな恐怖をつくってきたのか

土肥: 「株式会社 闇」は2015年に創業して、これまでたくさんの人を恐怖のどん底に陥れました。このように書くと、とんでもない会社のように思われるかもしれませんが、違う。ホラーとテクノロジーを掛け合わることで、これまで経験したことがないような恐怖を生み出し、多くの人を驚かせてきているわけですよね。具体的にどんな恐怖をつくってきたのでしょうか?

頓花: お化け屋敷に入って「怖かった」「面白かった」「ドキドキした」と思っても、それを伝えることって難しいですよね。「ちょっと歩いたら、右からバーンとお化けが出てきてびっくりした!」と言っても、相手はなかなかその怖さを理解することができません。じゃあ、どうすれば伝わるのか。自分がどのくらい恐怖を感じたのか、それを数値で示すことができればいいのではないかと考えました。

 大阪の梅田で、期間限定のお化け屋敷が開かれることになって、NTT西日本さんとご一緒に仕掛けを考えました(NTT西日本がデバイスを開発し、株式会社闇は恐怖の度合いを数値化・映像化・シェアする仕組みに携わる)。どんなことをしたのかというと、お客さんは受付で心拍を測る腕時計型のデバイス(リストバンド型活動量計)をはめる。そのデバイスにひもづいたQRコードをもらって、お化け屋敷に入る。終了後、QRコードにアクセスすると自分のビビり度が分かる仕組みなんですよね。

 また屋敷のなかには何台かのカメラを設置して、悲鳴を上げたところだけを自動的に録画できる仕組みを導入して、その動画をYouTubeにアップして見ることができるようにしました。お化け屋敷を出て、冷静になったところで「自分がきゃーきゃー叫んでいる」姿を見る。そうすると、二度楽しむことができますし、その動画を拡散させることができますよね。

土肥: SNSなどから流れてきたその動画を見た人は「めちゃめちゃおもしろそう。オレも今度行ってみよう!」となるわけですね。どれだけビビったかを数値にしているところも面白い。「オ、オレは全く怖くなかったぜ」と強がっていても、数値がバーンと高ければそれだけで盛り上がる。

頓花: 話は変わりますが、観覧車のゴンドラのなかって狭いので動き回ることができませんよね。そうした空間に、お化けが出てきたらどうでしょうか? 怖いですよね。ただ、狭い空間なので、そこにお化けが隠れることはできません。また、観覧車は動いているので、ゴンドラのなかで人が動き回ると危ない。これまではそうした制約があったのですが、テクノロジーのチカラを使うことで、観覧車のなかでも恐怖を生み出すことができるようになりました。

観覧車のゴンドラのなかでも、怖い雰囲気が漂っている

土肥: どのようにですか?

頓花: ゴンドラの窓にプロジェクションでお化けを映し出す。それだけでは怖くないので、お客さんにはヘッドフォンをつけてもらって、そこから立体音響が聞こえてくる。どういう音かというと、ハサミを持った女が近づいて来て、自分の髪をジョキジョキ切られているように感じるんですよね。さらに、座席には振動シートを入れているので、ハサミ女が近づいてくると座席が揺れるような仕組みをつくりました。

プロジェクションでお化けを映し出している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.