試用期間であっても仕事を辞めるか、辞めないかは労働者の自由です。ただし、試用期間中での退職はデメリットもあるので慎重に検討することをおすすめします。
試用期間中に退職するということは、入社して1年あるいは半年以内に仕事を辞めることになるので、次の転職に影響が出ることは避けられないでしょう。「前の会社の在職期間が短いけど、どんな理由でやめたの?」「転職理由は?」などは面接で確実に質問されるでしょう。
こうした場合に備え、会社の愚痴ではなく、将来の展望を中心に話すなどの対策を考えておく必要があります。
また、退職後に焦って転職してしまうと、再びミスマッチが生じる可能性もあります。
ミスマッチを繰り返すことを防ぐためには、(1)会社選びで何を重視するのか(社風、賃金、福利厚生など)(2)自分が実際に働いている姿が想像できる会社か、(3)会社のよい評判・悪い評判について把握しているか――などを明確にしておきましょう。
最近では、会社の口コミをインターネットで調べることもできます。転職でミスマッチを防ぐためには、リサーチも重要になります。
また、試用期間中に会社側から「期待していた能力がない」「社風にあわない」という理由で解雇された従業員が、退職を余儀なくされたケースも聞きますが、試用期間中であっても、正当な理由なく労働者を解雇することはできません。
解雇には、試用期間中であるか正社員(本採用)であるかにかかわらず、正当な理由が必要になります。会社側が「能力がない」と判断したのであれば、それを証明する必要がありますし、「社風にあわない」などの理由は採用側に責任があるので、労働者を解雇する正当な理由とはいえないでしょう。
また、労働者を解雇する場合、企業側は30日前までに解雇予告をするか、解雇予告短縮のための手当を支払わなければいけません。労働基準法第20条でも、以下のように定められています。
「予告の日数が30日に満たない場合には、その不足日数分の平均賃金を、解雇予告手当として支払う必要があります。例えば、解雇日の10日前に予告した場合は、20日×平均賃金を支払う必要があります」
ただし、これらは雇用開始から14日以上経過した場合の話です。逆にいえば、雇用開始から13日間は、解雇予告ないし手当は不要ですのでご注意ください。
試用期間に「この会社は自分に合わないかもしれない」と思うことは決して悪いことではありません。ミスマッチに気付き、次のステップに踏み出そうというのは勇気のある決断だったでしょう。試用期間であれ、正社員であれ、会社を退職することは大きな転機です。だからこそ、社会人としてのマナーを押さえて、堂々と退職したいものです。
【文責:株式会社アシロ「労働問題弁護士ナビ」編集部】
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